ダブルタップジェスチャー機能やSiriの向上など、さまざまな進化を遂げた「Apple Watch Series 9」。本体の見た目やサイズは前作のApple Watch Series 8と同じですが、新たなS9チップを搭載し、性能がパワーアップして機能も増えています。
しかし「新機能ってどんな感じなの?」「Apple Watch8から買い替えたほうが良いの?」と、Apple Watch9を買うべきか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「Apple Watch9」をPicky’s編集部が実際に使って、本音でレビューします。機能の使用感だけでなく、Apple Watch8やSE2との比較もご紹介。できることや8と9の違いも詳しく解説しているので、Apple Watch9を購入するか悩んでいる人はぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
Apple Watch Series 9のレビュー結果
Apple Watch Series 9は、Apple社が販売しているApple Watchシリーズの第9世代モデル。本体のデザイン・サイズ展開は前作と変わりませんが、チップの性能が向上して新機能が搭載されています。
まず、Picky’s編集部によるApple Watch9の総合評価からチェックしていきましょう。重量・サイズ・充電の持ちなど、実際に使用して検証しました。
重量・サイズ | ◎ |
---|---|
デザイン | ◎ |
着け心地 | ◎ |
バッテリーの持ち | △ |
充電速度 | ◎ |
画面の見やすさ | 〇 |
Siriの呼び出し・音声入力の精度 | 〇 |
ダブルタップジェスチャーの使いやすさ | ◎ |
動作のスムーズさ | 〇 |
メッセージの返信機能 | ◎ |
睡眠記録の精度 | ◎ |
文字盤の種類 | ◎ |
「iPhoneの正確な場所を見つける」機能 | 日本では非対応 |
高評価だったポイント:ダブルタップジェスチャーで使いやすさが向上
- ダブルタップジェスチャーで操作できる
- オフラインでSiriが使える
- かわいい文字盤が豊富
Apple Watch9はダブルタップジェスチャーを利用できるのが特徴。Apple Watchを着けている手の親指と人差し指を2回合わせるだけで、電話に出たり音楽を再生したりできます。Siriの性能が向上し、iPhoneやWi-Fiと接続しなくてもSiriを使えるようになったのも高評価でした。
また文字盤はこれまでのディズニーやピクサーに加え、今回のwatchOS 10で追加されたスヌーピーなど種類が充実。服装や気分に応じて変更でき、おしゃれなファッションアイテムとしても使いやすいのも魅力だと思いました。
微妙だったポイント:バッテリーの持ちが悪い
- バッテリーの減りが早い
- 性能の向上を実感できない
- 「iPhoneの正確な場所を見つける」機能が日本では使用できない
Apple Watch9は従来モデルと同じくバッテリーの持ちが悪く、毎日充電する手間がかかるのが微妙なポイントでした。また、新機能は増えていますが、前作のApple Watch8と比べて性能の向上はあまり感じられません。新機能の「iPhoneの正確な場所を見つける」が日本では利用できないのもデメリットです。
関連記事:【実機レビュー】Xiaomi Smart Band 8を徹底検証!コスパは良い?7との比較も
Apple Watch Series 9を買うべき人
- 画面を触らずに操作したい人
- おしゃれを重視する人
- 初めてスマートウォッチを使う人
Apple Watch9は画面を触って操作するのが面倒な人におすすめです。ダブルタップジェスチャーで操作でき、Siriを使って音声コントロールも可能なので、幅広い使い方ができます。荷物を持っていて、手で操作できない場面でも使いやすいですね。
また、Apple製品ならではの着け心地のよさ・デザインが好きな人にもおすすめです。腕時計やスマートウォッチに慣れていない人でも快適に使用できます。どんなファッションにも合わせやすいデザインで、性別問わず身に着けられます。Apple Watch初心者にもおすすめですよ。
Apple Watch Series 9をおすすめしない人
- すでにApple Watchを持っている人
- 毎日充電するのが面倒な人
Apple Watch9の性能は、前作のApple Watch8と比べて期待するほど向上していないように感じられました。すでに前作を持っているなら、わざわざ買い替える必要性は低いです。
また、充電の減りが早いため、こまめに充電するのが面倒な人は不便に感じる可能性が高いです。フィットネスの計測をあまりしない場合でも、毎日充電する必要があります。
関連記事:初代との違いは?Apple Watch Ultra 2を実機レビュー!9との比較・新機能を解説
関連記事:【完全解説】スマートウォッチおすすめ33選!Android向け・できること比較
【8と比較】Apple Watch Series 9のスペック
「Apple Watch9の性能はどうなの?」「Apple Watch8と何が違うの?」と疑問に思っている人は多いですよね。そこで、Apple Watch9とApple Watch8の比較をまとめました。買い替えを検討している人や、どちらを購入しようか悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。
Apple Watch Series 9のスペックをSeries 8と比較
モデル | Apple Watch Series 9 | Apple Watch Series 8 |
---|---|---|
サイズ展開 |
|
|
ディスプレイの輝度 | 2,000ニト | 1,000ニト |
解像度 |
|
|
チップ | S9チップ | S8チップ |
ストレージ容量 | 64GB | 32GB |
バッテリー時間 |
|
|
Bluetooth | 5.3 | 5.3 |
防水性能 | 水深50mの耐水機能 | 水深50mの耐水機能 |
防塵性能 | IP6X | IP6X |
材質 |
|
|
ケースの色 |
|
|
ダブルタップジェスチャー | ○ | × |
オフラインでのSiriの利用 | ○ | × |
- ディスプレイの輝度が1,000ニトから2,000ニトに向上
- ストレージ容量が32GBから64GBに増量
- チップがS8からS9になり性能が向上
- ダブルタップジェスチャー・オフラインでのSiriの利用に対応
- アルミニウムモデルにピンクが追加
関連記事:Apple Watch Series 8をレビュー検証!進化した点や買い替えすべき人を解説します
注目はダブルタップジェスチャーやSiriなど、使いやすさの進化
Apple Watch9で特に注目すべきポイントは、ダブルタップジェスチャー機能とオフラインでSiriを利用できるようになった点。ダブルタップジェスチャー機能を活用すれば、どんな場面でもすばやく電話に出たり通知を開いたりできます。ものをつまむように親指と人差し指を合わせるジェスチャーなので、片手がふさがっているときでも使いやすいです。
Siriについては、Apple Watch上で指示を処理できるようになったことで応答速度がアップ。またネットに接続しなくてもSiriを起動できるため、スマホが近くになくても声での操作が可能になりました。
【実機で検証】Apple Watch Series 9を徹底レビュー
Apple Watch Series 9のセット内容
- Apple Watch9本体
- バンド
- Apple Watch磁気高速充電 – USB-Cケーブル
コンパクトなサイズで存在感なし
本体のサイズは41mm・45mmの2種類。今回Picky’s編集部では41mmのモデルを使用してみました。45mmモデルに比べると、かなりコンパクトで存在感がなく、腕時計・スマートウォッチを着け慣れていない人でも違和感なく使用できます。
男性と女性の装着イメージも参考にしてみてください。
デザインの変更はほとんどなし
本体のデザイン面での変更点は特になく、カラーにピンクが追加されたのみ。前作のApple Watch8と大きな違いはありません。Apple Watch9の本体カラーは全7色で、自分のファッションや生活により馴染むものを選べます。
スポーツバンドはフィット感のある着け心地が◎
今回Picky’s編集部では、ウィンターブルーのスポーツバンドを選択しました。スポーツバンドは装着後丸いステンレスピンが見えるのがおしゃれ。ポチッと突起が出ていて、いいアクセントになっています。
スポーツバンドの着け心地はしっかりしていて、フィット感が抜群。腕を振っても揺れが気にならず、運動や家事をしているときも快適です。しっかりフィットしますが、締め付けが強すぎる心配はありません。日常生活でもアウトドアアクティビティでも不快感がないのは使いやすいですね。
バッテリー持ちは相変わらずイマイチ
Apple Watch9のバッテリーはApple Watch8と同性能で、電池持ちはイマイチ。明るさ最大でアラームと通知の確認で使用してみたところ、1日でバッテリー残量が100%から20%になっていました。フィットネスの計測のような電力を消費する用途の使用が増えれば、1日充電がもたない可能性が高いです。
充電の速度はとても早く、たった30分で0%から60%まで充電できました。こまめに充電できるならバッテリーの持ちは気にならず、快適に使用できます。
ディスプレイの明るさ2倍は実感できず、輝度を下げる機能は向上
Apple Watch9はApple Watch8と比べて輝度が2倍に向上しています。検証では、明るい部屋で使うときにApple Watch9の方が明るく感じるタイミングもありましたが、そこまで違いを感じられませんでした。日常生活で画面が見えにくくて困ったシーンはなく、屋外でも問題なく使用できます。
輝度を下げる機能の向上ははっきり感じられました。映画館のような暗い場所でも周りに迷惑をかけずに画面を確認できます。
メッセージの返信機能が便利!頻繁に使うなら45mmがおすすめ
Apple Watch9はApple Watch8に引き続き、メッセージの返信機能に対応しています。LINEの返信もスムーズにできるので、スマホを取り出すのが面倒なときに便利です。
ただし大きなサイズのスマートウォッチに慣れている人は、41mmモデルだと画面操作がしにくく感じる可能性があります。タッチ操作のしやすさを重視するなら、45mmモデルがおすすめです。
チップ性能の向上で、Siriは大幅に使いやすく進化
Apple Watch9はチップの性能が進化しています。Picky‘s編集部で確認したところ、特に性能の向上が感じられたのはSiriの使いやすさでした。
まず、Wi-Fi接続・iPhone接続なしでSiriを使用した場合、前作では利用できませんでしたがApple Watch9ではSiriを呼び出せるようになっています。S9チップの進化により、今までiPhone上でSiriを処理していたのが、Apple Watch上でSiriの処理を行うようになったおかげです。
またSiriをApple Watch上で処理するようになったことで、Siriに呼びかけた際の返答までの時間が、前作に比べてワンテンポ早くなっています。
以下の動画では音声入力の反応も検証しているので、気になる人はチェックしてみてください。
さらに、Apple Watch9ではSiri経由でのヘルスケア記録の呼び出しにも対応。検証でも、以下の動画のように睡眠記録の呼び出しができるのを確認しました。
Siri以外の動作では、チップの進化を実感できず
チップが進化したことにより、Siriの動作は明らかに進化しましたが、そのほかの動作は特に進化を感じられませんでした。
元々前作からとてもサクサク動作しているため、進化を感じられずともApple Watch9の動作は快適です。
新機能ダブルタップジェスチャーが便利!必ず設定を有効にしよう
ダブルタップジェスチャーは利用する機能によって反応のよさが違いました。Picky’s編集部が試してみたところ、アラームを止めたりワークアウトを再開したりするときの反応はとても良好。電話に出るときは反応しないこともあったので、使用時は注意が必要です。
また、ダブルタップジェスチャーはデフォルトで利用できない設定になっているので、必ず設定を変更しましょう。
設定はiPhone・Apple Watchのどちらからでも変更できます。iPhoneの場合は「Watch」アプリ内の、Apple Watchの場合は「設定」内のアクセシビリティから「Assistive Touch」をオンにします。
実際にダブルタップジェスチャーを使っている様子が気になる人は、以下の動画から確認できます。
睡眠記録の精度はApple Watch Series 8と大きな差はなし
睡眠記録の精度はApple Watch8と同程度。寝ている時間が起きている時間として計測されることもありました。厳密にデータを取りたい人にとってはイマイチの精度ですが、参考にしたい程度なら十分です。
コントロールセンターの呼び出し方が変更
Apple Watch9発売に伴いリリースされたwatchOS10で、コントロールセンターを呼び出す方法が変わった点は要注意。以前はサイドボタンを押すとDockが表示されましたが、watchOS10ではコントロールセンターが呼び出されます。Dockを呼び出すときは、サイドボタンの上にあるDigital Crownを2回押します。
「iPhoneの正確な場所を見つける」機能は日本では使用不可
iPhoneまでの正確な距離・方向を確認できる「iPhoneの正確な場所を見つける」機能の検証をしてみましたが、利用できませんでした。日本では規制の関係で使用できない機能のようです。
ただ、前作と同様、地図にiPhoneがある場所を表示する機能は搭載されているので、大体の場所の確認はできます。
実際にiPhoneを探す機能を使っている様子は、以下の動画を参考にしてみてください。
スヌーピーも追加!かわいい文字盤が多数
Apple Watchは待ち受けのデザインが充実しているのも魅力。今回のwatchOS10からスヌーピーが動く可愛らしい待ち受けも追加されました。
ピクサーやディズニーの文字盤も選択できます。ファッションやシーンに合わせて待ち受けを変えるのも楽しそうですね。
関連記事:【マニアが比較】おすすめNo1のApple Watchはどれ?価格や種類の違いを調査【最新】
【SE2と比較】Apple Watch Series 9とSE2はどっちがおすすめ?
去年発売されたApple Watch SE2との比較をまとめてみました。それぞれどんな違いがあるのか、どんな人におすすめかご紹介します。
モデル | Apple Watch Series 9 | Apple Watch SE2 |
---|---|---|
定価 | 59,800円~ | 37,800円~ |
サイズ展開・重量(GPSモデル) |
|
|
ディスプレイの輝度 | 2,000ニト | 1,000ニト |
解像度 |
|
|
チップ | S9チップ | S8チップ |
ストレージ容量 | 64GB | 32GB |
バッテリー時間 |
|
|
防水性能 | 水深50mの耐水機能 | 水深50mの耐水機能 |
防塵性能 | IP6X | – |
材質 |
|
|
ケースの色 |
|
|
ダブルタップジェスチャー | ○ | × |
オフラインでのSiriの利用 | ○ | × |
血中酸素濃度 | ○ | × |
皮膚温センサー | ○ | × |
急速充電 | ○ | × |
常時表示機能 | ○ | × |
ダブルタップジェスチャーや皮膚温センサーを利用したいならSeries 9がおすすめ
ダブルタップジェスチャー機能や、血中酸素濃度・皮膚温センサーなどの一部ヘルスチェック機能を使いたいなら、Apple Watch9がおすすめです。Apple Watch SE2より多くのデータを集められるので、しっかり健康管理できます。
また、低電力モードに対応しているため、充電の持ちが気になる人にもおすすめ。充電を忘れても急速充電ができるので、すぐに使用できます。
常時表示機能が不要で最低限のヘルスチェックがしたいだけならSE2で十分
睡眠記録や心拍数など基本的なデータだけでいい人や、とりあえずスマートウォッチを使ってみたい人には、Apple Watch SE2がおすすめ。Apple Watch9よりさらにコンパクト・軽量なので、腕時計が苦手でも違和感なく着用できます。
常時表示機能がないのはデメリットですが、常時表示するとバッテリーの消費が早くなるため、不要な人も多いですよね。また、価格が2万円以上安いので、コスパ重視の人にもおすすめです。
関連記事:性能は十分?Apple Watch SE(第2世代)を実機レビュー!初代との違いも比較
Apple Watch Series 9のダブルタップジェスチャーの活用例を動画で確認
Apple Watch Series 9の関連商品
ここからは、あると便利なApple Watch Series 9の関連商品をご紹介します。
バンドやケースの着せ替えでもっとおしゃれに
Apple Watchの魅力の一つは、バンドやケースを着せ替えてカスタマイズできること。Apple純正品のラインナップも豊富ですが、サードパーティ製も数多く販売されています。バンドやケースを着せ替えてApple Watchをもっと楽しみましょう。
Apple Watch Series 9のよくある質問
カーボンニュートラルとは?
GPS+Cellularモデルを購入するときの注意点は?
Apple Watch9はどこで買うのがおすすめ?
文字盤はApple Watchの他のモデルと共通?
Apple Watch9の発売日はいつ?
Apple Watch Series 9レビューまとめ
- デザインは前作のまま、使いやすくなったスマートウォッチ
- ダブルタップジェスチャー機能で画面に触らず操作できる
- デザイン・着け心地がよく、初めてスマートウォッチを使う人にもおすすめ
今回は、Appleから販売された最新モデル「Apple Watch9」についてレビューしました。Apple Watch9はAppleらしいおしゃれな見た目・快適な使用感で、スマートウォッチデビューに最適の1台。ダブルタップジェスチャーやSiriなどの便利機能を上手に活用して、スマートな生活を始めましょう。
Photo By 内田大貴