セキュリティ強化の選択肢として、セキュリティソフトと同様に選択肢にあがるVPN。安全なインターネット通信を行いたい方におすすめです。
しかし、セキュリティソフトはなんとなくウイルス対策に効きそうなのは想像できるものの、VPNがどう貢献してくれるのか、よくわからない方も多いのではないでしょうか。具体的にどんな効果があるのかや、セキュリティソフトと併用するべきなのか、疑問ですよね。
そこで本記事では、VPNが具体的にどうやってセキュリティを強化してくれるのかをご紹介。セキュリティソフトと併用すべき理由についても解説します。
VPNがセキュリティ強化につながる3つの理由
VPNがなぜセキュリティ強化につながるのか、その理由はVPNで使われている技術にあります。ここでは、VPNで使われている技術について詳しく解説します。
「トンネリング」「カプセル化」で、外部からの侵入やデータの盗聴を防ぐ
VPNでは、トンネリングによってインターネット上に仮想的な専用回線を作り出します。道路に例えると、公道に専用のトンネルを作るようなイメージです。トンネリング自体には攻撃を防ぐようなセキュリティ機能はありませんが、公衆回線のユーザーからは通信が見えなくなります。
編集部
トンネリングを実現するためによく使われる技術がカプセル化です。カプセル化では、送受信するデータをカプセルのようなデータで包みます。万が一トンネル内部のデータをのぞき見られても、カプセルで囲われているため、外からはデータの状態がわかりません。
手紙(データ)を封筒(カプセル)で覆っているようなイメージをするとわかりやすいです。もしトンネルの中をのぞき見られても、手紙(データ)は封筒(カプセル)に覆われているので、読まれることはありません。
詳しい仕組みについてはこちらの記事で解説しているので、気になる方はチェックしてみてください。
関連記事:VPN接続の仕組みをビジネス用途や個人向けにわかりやすく解説!危険なデメリットも
「暗号化」で、データが傍受されても内容がわからないように変換
トンネリングだけでは悪意を持ったハッカーからの攻撃は防げないため、VPNでは「暗号化」をセットで利用します。暗号化はデータの文字列を法則に従って他の文字列・符号に置き換えます。この暗号化の際に使われるのが暗号鍵です。
そして、データを受け取った方も暗号鍵を利用して、暗号化されたデータを元のデータに戻します。データを元に戻すことを複合と呼びます。暗号鍵の受け渡し方法は、大きく分けて以下の2種類です。
暗号鍵の受け渡し方法 | 特徴 |
---|---|
共通鍵暗号方式 |
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公開鍵暗号方式 |
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VPNでは共通鍵暗号方式が利用されるケースが多いです。カプセル化と同時に暗号化されたデータは公衆回線に送信されるため、第三者にデータを閲覧・改ざんされるリスクを下げられます。
「認証」で、VPNへの不正な接続を防ぐ
VPNのトンネリングでは通信が見えなくなりますが、トンネル内部に侵入されるリスクがあります。そこで、認証を利用してトンネル内部への侵入を防ぎます。
認証とは、トンネルの出入り口で正規の送受信者か確認する仕組みのこと。認証方法はさまざまですが、代表的なのがパスワード認証や証明書認証です。
代表的な認証方法 | 特徴 |
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パスワード認証 |
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証明書認証 |
|
編集部
VPNとセキュリティソフトの違い
VPNと同様、セキュリティソフトも安全にパソコン・インターネットを利用するのに欠かせないアイテムです。VPNとセキュリティソフトは力を発揮するシーンが違うため、両方を使用するのがおすすめ。VPNとセキュリティソフトを比較して、どのような違いがあるのかご紹介します。
セキュリティソフトはマルウェアを見つけて対策してくれる
セキュリティソフトは、パソコン・スマートフォンなどの端末をマルウェアから保護してくれるソフトウェアです。マルウェアとは悪意のあるソフトウェア全般を指し、ウイルス・トロイの木馬などさまざまなものがあります。
セキュリティソフトは定期的にウイルスがいないかチェックし、不正なファイル・プログラムがあれば削除・隔離してくれます。メールに添付されたファイル・リンクなどの安全性もチェックしてくれるので、セキュリティに詳しくない方でも安心です。
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編集部
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VPNはネット上でプライバシーを守ってくれる
VPNはインターネットでの通信を暗号化してハッカーから守ってくれるため、通信内容の漏洩リスクを減らせます。VPNを利用すれば、本社・支社・社員の自宅といった拠点間で安全にデータを送受信可能。テレワークでも気軽に社内ネットワークに接続できます。
他にもフリーWi-Fiを利用する際には特にデータ通信内容の漏洩リスクが高くなりますが、VPNを使えば安全性は向上します。フリーWi-FiとVPNの関係については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:フリーWi-Fi利用時はVPNを使った方がいい?危険性や必要な理由を解説!
セキュリティソフトも情報漏洩の予防に効果がありますが、手段が違う点がポイント。セキュリティソフトはマルウェア感染によって起きる情報漏洩を防ぐのに対し、VPNはデータを通信するときに傍受されるのを防ぎます。
従業員の監視・管理によるマルウェア感染対策も可能
VPNを会社で導入する場合、インターネットに接続する際の監視・管理にも利用できます。VPNにはマルウェアを検出・対策する機能はありませんが、マルウェアへの感染を防止する際には活用可能。例えば、従業員の端末に制限をかけて、マルウェアに感染する疑いのあるサイトへのアクセスをブロックできます。
また、通信のログを記録できるため、故意に情報を漏洩させるような怪しい行動を検出できます。プライベートなネットの利用時は、会社のVPNを利用しないようにしましょう。
VPN利用者が注意すべきセキュリティリスク
VPNを利用していても、セキュリティトラブルにあうリスクはあります。具体的にどのようなセキュリティリスクがあるのかご紹介するので、しっかり対策しましょう。
VPN機器の脆弱性
VPNを構築するのに使用している機器の脆弱性を狙って、サイバー攻撃を仕掛けられる可能性があります。脆弱性をなくすには、ルーターのようなVPN機器をアップデートするのが重要。アップデートしないと、社内ネットワークに接続している端末がマルウェアに感染してしまう危険性が高まります。
編集部
安全性の低いVPNの利用
悪質なインターネットVPNでは、データが暗号化されていない可能性があります。暗号化されていないと、ハッカーに情報を閲覧・改ざんされるリスクがあり、とても危険です。
また、ログを記録している運営企業もあります。記録されたログは販売されて、ターゲティング広告の表示や通信の追跡などに利用されるリスクがあります。
特に、無料のインターネットVPNには悪質なサービスやセキュリティレベルの低いサービスが多いので注意しましょう。なお、ログを記録しているかどうかは、ログを保存しないノーログポリシーをうたっているかでチェックできます。
マルウェアに感染した端末でVPNを利用
VPNにはマルウェアを検出・排除する機能がないため、マルウェアに感染した端末でVPNに接続すると、情報漏洩の原因になります。また、マルウェアに感染した端末を社内ネットワークに接続すると、ネットワーク経由で他の端末に感染が広がる可能性があります。安全にVPNを使うためには、セキュリティソフトを導入し、従業員のセキュリティ意識を高めておくのが重要です。
VPNセキュリティのまとめ
VPNは通信のプライバシーを守るために欠かせない技術。パソコン・スマホなどの端末で、社外から社内ネットワークにアクセスする際は必ず使用しましょう。ただ、VPNだけでは全てのセキュリティトラブルを防げないため、セキュリティソフトも併用するのがおすすめです。
- VPN機器の脆弱性
- 安全性の低いVPNの利用
- マルウェアに感染した端末でVPNを利用
上記のセキュリティリスクに気を付けて、安全にVPNを利用しましょう。