写真は進化する。
今まで、CanonのミラーレスのセンサーサイズはAPS-Cよりも大きくなることはありませんでした。
2012年に発売された「EOS Mシリーズ」初代の「EOS M」から、2018年3月に発売された「EOS Kiss M」まで8回のモデルチェンジがありましたが、センサーサイズは全てAPS-C。
しかし、とうとう、Canon初のフルサイズミラーレス「EOS R」が10月25日に発売されました。
今回は、そんな期待の「EOS R」を徹底レビューしていきます。
関連記事:【Rがおすすめ】人気のCanonミラーレスカメラ15選!初心者向けから最新モデルまで
Canon EOS Rのスペックを評価してみた
まずは、EOS Rのびっくりなスペックをご紹介。画素数は約3030万画素、35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載。
EOS Rの価格は思っていたより高くない α7Rⅲよりは安い
同時期に発売されたZ7とα7Riiiと比較すると、EOS Rは少し値段が低めです。NikonからはZ6というZ7の廉価版も発売されるようなので、CanonのEOS Rは安くてお得だ、という訳ではありませんが、最新モデルとしては購入しやすい価格設定になっています。
商品名 | キヤノン EOS R | ニコン Z7 | ソニー α7R iii |
---|---|---|---|
価格 | ¥256,500(税込) | ¥437,000(税込) | ¥356,440(税込) |
Amazonにも出品されています。
EOS R AFが凄い
AFはフルサイズカメラで世界最速の0.05秒。横約88%×縦約100%の画素において、全画素が撮像と位相差AFの両方を兼ねるセンサーを積んでいます。
これにより画面内のほぼ全域をフォーカスポイントとしてAFを作動させることが可能に。
さらに夜景や星空など、暗くて目視で被写体をはっきりと見ることができないシチュエーション(EV-6)でも、電子ビューファインダーを覗いてAFが使えるようになりました。
星景写真の撮影などでレンズや構図を変えた際に、今までより素早くピントを被写体に合わせることが可能になるでしょう。
今回のAF性能の向上で嬉しいポイントは瞳オートフォーカスです。
タッチ&トライイベントで触ってみた感じだと、瞳AFがめちゃくちゃ効いていました。顔が横を向いてしまってもちゃんと効いてたので期待通り!
ピント合わせがシビアなフルサイズでもしっかり瞳にフォーカスのあったポートレートが撮れます。
EOS R ファインダーも進化
ちなみに、先ほど電子ビューファインダーに触れましたが、実際にファインダーからのぞいた映像がやたら綺麗だな、と思っていたらファインダーも進化しているそうです。
EOS Rの電子ファインダーには、液晶ではなくOLED(有機EL)を搭載しています。369万ドットもあるそうで、発色も素晴らしいです。
その他にも、カメラを横に向けてファインダーを覗くと表示も横表示になるなど、細かい部分も改善されています。
EOS R ミラーレスならではの操作性
レンズの先端部にコントロールリング、本体の背面部にマルチファンクションバー(M-Fnバー)が追加され、自由に機能を割り当てることができます。
マルチファンクションバーは先進的なスライドタッチ対応ボタンになっていて、指でスライドするだけで数値を変更できます。ここはISO感度を割り当てることになりそうです。
コントロールリングは、回すとカリカリとクリック音がなるようなちょっと重めの設定になっていて使いやすいです。ここには絞りか露出補正を割り当てるのが良いですね。
他にも、ファインダーを覗きながらタッチパネル液晶に指をおいてドラッグすることで、フォーカス位置を自由に動かせたりなど、今風な操作感に進化しています。
EOS R 電源をオフにするとシャッターが閉じる
地味にうれしい機能。EOS Rの電源をOFFにすると、シャッターが閉じてイメージセンサーが守られます。なんとなく、センサーむき出しだとゴミやホコリが入ってしまわないか不安になることがありましたが、ようやくその不安もなくなりますね。
RF27-70mm F2 L USM レンズが凄い
EOS Rの発売と同時に発売されたレンズは、RF24-105mm F4 L IS USM、RF27-70mm F2 L USM、RF50mm F1.2 L USM、RF35mm F1.8 MACRO IS STMの4本。
中でも、F2通しのズームレンズ「RF28-70mm F2 L USM」には驚きです。
今までF2通しのレンズはSIGMAの24-35㎜しか発売されておらず、F2通しでこれほどズーム出来るレンズの発表は前代未聞のことです。
EOS Rシリーズ以前の一眼レフモデルで、こんなレンズを作ろうとすると、レンズが大きくなりすぎて実用的ではなかったのですが、EOS Rシリーズからレンズ最後端から焦点までの距離(バックフォーカス)を短くした「ショートバックフォーカス」を採用することで、一眼レフのミラーがあった部分を有効活用できるようになりました。
そのおかげで、RF28-70mm F2 L USMや、RF35mm F1.8 MACRO IS STMのような今まで作れなかったようなレンズが作れるようになりました。
これらのような性能のレンズを使えるようになる、というだけでも十分購入する理由になり得ます。
ちなみに、27-70mm F2のレンズは40万。カエナイヨー。
EOS Rの口コミや評価は…?
家電の評価をする雑誌「家電批評」の2018年11月号でも、EOS Rが取り上げられていました。
「可能性」を感じるが全部入り感はナシ。手ブレ補正入りの本命版に期待
ニコンも頑張ったんだし…手ブレ補正はつけて欲しい
と、手ブレ補正に関しては厳しい評価ですが、全体的には可能性を感じるカメラであり、これからに期待とのことです。
ボディに手ブレ補正機能がない
実際に試作機を使ってみたところ、手ブレ補正の弱さは少し気になりました。「デュアルセンシングIS」(レンズの手ブレ補正の精度を向上させるシステム)が搭載されているはずですが、室内での撮影ではしっかりと静止して撮らないとブレてしまうことも。
これは、ボディ内に光学的な手ブレ補正の機構を持たず、精度の低い「電子式手ブレ補正」に頼っているためです。(SONYとNikonのフルサイズミラーレス「α7」、「Z7」はどちらもボディに光学式手ブレ補正機能がついています)
SDスロットが一枚しかない
EOS RのSDスロットは一枚しかなく、「EOS 5D Mark IV(フルサイズミラーレスの上位機種)」に搭載されていたデュアルSDカードスロットは、EOS Rにはありません。
他にも4K動画がクロップされてしまったり、シャッター音がチープだったりと、どうしてもレフ機の5Dシリーズと比べるとまだまだ進化の途中だと感じました。
CanonEOS RとNikon Z6とSONYα7iiiを比較してみた
EOS Rと値段帯が近い、Nikon、SONYそれぞれのフルサイズミラーレス機を比較してみると…
結果から言うと、α7iiiの勝利です。
やはり、ソニーが5年も先に発売し続けてきたフルサイズミラーレスの分野では、老舗のCanon、Nikonでも簡単には追いつけないようです。
今の時点でフルサイズのミラーレスをおすすめするならSONYの「α7iii」もしくは、「α7Riii」です。
やはり、5年の先行期間は長く、レンズの数から細かい機能まで含めてZやEOS Rは「α7」に劣っている印象があります。それでいてα7の方が軽くてコンパクト。
また、α7にマウントアダプターを取り付ければ、Canon EOS用の一眼レフレンズも使えるのでレンズの心配も無し。
さらにSONYがα7の購入キャンペーンを行ったため実質大幅値引きでさらに安く買えるようになりました。
⇒【注目】SONYの人気No1のフルサイズ機 α7ⅲをレビュー!!6Kの実力とは
Z7やEOS Rが発売されてから、さらにα7の売り上げが跳ね上がるという謎の現象が起きています。
これは、各メーカーがフルサイズのミラーレスを発売したことによって、SONYの凄さが際立ったのが原因です。
現時点では、SONYのαがトップを走っていて、NikonのZ、CanonのEOS Rがその後を追っている状況だと考えてよいでしょう。(実は、アメリカではSONYのフルサイズ機が業界シェアのトップを握っています。)
EOS Rの評価・レビューまとめ
筆者が体験したタッチ&トライ(EOS Rの体験会)では、撮影したファイルを持ち帰ることができなかったため、実際に触ってみた感想や公開された情報を中心に、EOS Rの詳細をまとめレビューしてみました。
関連 ≫ ニコンの最新ミラーレス「Z7」レビュー、スペックと使ってみて感じたこと
結論から言うと、EOS Rよりもα7Ⅲの方が完成度は高いなという印象がありました。それでも、Canonがダメダメという訳では全くありません。むしろ、これからの進化に期待できる夢を感じるカメラです。
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EOS Rは価格的にも、フルサイズミラーレスのエントリーモデルという位置付けになりそうです。これから発売される上級向けの機種には、Canonの老舗カメラメーカーとしての本気が現れるでしょう。これからのフルサイズミラーレスに期待です。