一眼レフやミラーレスについて調べると、 必ず「フルサイズ」とか「APS-C」という単語を目にするはず。
これはイメージセンサーの大きさの違いなんですが、 実際は何が違うのでしょうか?
「イマイチ違いを理解してなかったから、 後々後悔することになった」という人も僕の周りにいますので、「これから一眼レフ買うよ〜」という人のためにフルサイズとAPS-Cの9つの違いを簡単にまとめてみました。
⇒NikonのAPS-C(DXフォーマット)一眼レフ徹底比較!D500、D7500、D7200
目次
そもそもイメージセンサーとは?
「フルサイズ」も「APS-C」も要はカメラのイメージセンサーの大きさのことなんですが、この違いを理解するためにはまずイメージセンサーの働きについて理解しなければなりません。
一眼レフが写真を記録する仕組み
そもそもデジタル一眼レフはどのようにして写真を記録しているのでしょうか?
デジタル一眼レフのシャッターボタンを押すと、非常に短い時間カメラのシャッターが開きます。
すると、レンズ越しに外の光(=風景)が、 中にあるイメージセンサーに当たります。
イメージセンサーに光が当たると、 光が当たった部分に電気信号が発生します。
電気信号が多い=明るい部分ということがわかるので、 この電気信号をもとに画像処理エンジン(カメラ内のICチップ)が画像データを作成します。
最後に画像データをSDカードに保存して、 撮影終了です。
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ジョンくん
イメージセンサーは(ミラーレスや一眼レフの場合)、 簡単に見ることができます. 画像の矢印の部分にある、 緑やピンク色の部品がそれです。
上の3つのカメラにはそれぞれ違うサイズのイメージセンサーが搭載されているのですが、 右の一眼レフのイメージセンサーが一番大きくて、 中央と左が小さめなのがわかりますか?(実は左のほうが、 中央より一回り小さいのですが)
上の画像だとわかりにくいので、 センサーのサイズをしっかりと比較してみましょう。
イメージセンサーのサイズを比較
一眼レフ・ミラーレスで代表的なイメージセンサーのサイズ3つをピックアップしてみました。 上の写真のカメラと合わせてみると…
青が右の一眼レフ、 ピンクが中央の、 黄が左のミラーレスのセンサーです。大きさはほぼ同じ比率になっています。
やはり右(青色)の機種のセンサーがずば抜けて大きいですね. 次点で中央(ピンク)の機種のセンサーが大きいことがわかります。
さて、 もうお気づきの方も多いと思いますが、
- 一番大きい右(青)のイメージセンサーがフルサイズ
- 中央(ピンク)のイメージセンサーがAPS-C
- 左(黄)のイメージセンサーがマイクロフォーサーズ
です。
フルサイズもAPS-Cも大きさが違うだけだった?
フルサイズとAPS-Cとマイクロフォーサーズ、 横文字だからわかりにくいですが、 要はイメージセンサーの大きさが違うんです。
フルサイズは、 大きさが36mm x 24mm(切手と同じくらいの大きさ)のイメージセンサーで、 これはフイルムカメラで使われる写真用フイルムと同じ大きさです。
一応、 これよりも大きい「中判」とよばれるサイズもありますが、 一部のプロ向けであまり主流ではありません。
「フルサイズ=一番大きい」と考えて問題ありません。
次に、 APS-C(エーピーエス・シー)は23.6mm x 15.7mmと、 フルサイズよりも二回りほどコンパクトなセンサーです。
面積ではフルサイズの42%ほどですごく小さく感じてしまいますが、 それでも十分大きい方です。 名前の由来はAPSフイルムという、ごく一時期存在した写真用フイルムの大きさから来ています。
なお、 Nikonの場合、 フルサイズのことを「FXフォーマット」、 APS-Cのことを「DXフォーマット」と呼ぶことがあります。
この2つ以外で主流なのはOLYMPUSとPanasonicのミラーレスで使われるマイクロフォーサーズ。 3つの中では一番コンパクトで、 面積比でいうとフルサイズの4分の1しかありません。
「これじゃマイクロフォーサーズは相当画質悪そうだな…」と思うのは早計. センサーの大きさと画質がそのまま比例するわけではありません。
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フルサイズ、 APS-C、 マイクロフォーサーズ それぞれの特徴
フルサイズ、 APS-C、 マイクロフォーサーズそれぞれの特徴をみてみましょう。
画角: APS-Cは「写る範囲」に注意が必要
同じレンズを装着しても、 フルサイズ機とAPS-C機とでは画角(画角; 写る範囲のこと)が違います。
上の図を見てください. 同じ風景を同じレンズで撮影しても、 センサーのサイズ(赤色の四角形、 グレーの円はレンズマウントを表しています)が違うため写る範囲が全く異なるのがわかります。
実際に「50mm f/1.8」のレンズを使って撮影し、 違いを比較してみました。
どうでしょうか. 上がフルサイズの機種で撮影した場合、 下がAPS-Cの機種で撮影した場合です。
レンズは同じなのに写る範囲が全く違います。 APS-Cの機種で撮影した場合、フルサイズの機種よりもふたまわりほど狭い範囲しか写っていません。
この点に注意しないと、 広い範囲が写る「広角レンズ」を買っても、 APS-Cのカメラに取り付けたらそんなに広角じゃなかったという悲劇が起こりかねません。
逆に言うと、 APS-Cのカメラで使うなら、 より広角なレンズを用意する必要があるということです。
編集部
では、広い範囲が写るフルサイズの方がいいのかというと、 一概にそうとはいえません。
例えば、 サッカーや野球などのスポーツを撮影する場合、 遠くにいる選手を大きく写したいですが、 こういう場合は「写る範囲が狭い=より大きく写すことができる」ということで、 APS-Cの方が有利といえます。
実際、 NikonはD500、 CanonはEOS 7D mk. IIというスポーツやモータースポーツ、 鉄道写真などに特化した一眼レフを用意していますが、 この2機種はいずれもAPS-Cのイメージセンサーを使っています。
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ノイズの量: 夜景・星空以外は大差なし!
大きなサイズのセンサーほど、 夜景や星空を撮影するときのノイズは少なくなります。
実際、 星野写真や天体写真を撮影するフォトグラファーにはフルサイズのカメラを使う人が多いのはこのためです。
しかし、 最近は技術の向上もあって、 フルサイズとAPS-Cでも大差ないのでは? というのが僕の意見です。
天体写真のような極端な状況ではともかく、 明るい場所で撮影した写真なら、 よほど詳しい人でない限り違いを見つけられないと思います。
色: とりあえず気にしなくてもいい
これも、 フルサイズのような大きなセンサーのほうがなめらかな色表現ができるとされています。
ポートレート(人物撮影)でフルサイズが重宝されるのはこのためです。
しかし、 APS-Cやマイクロフォーサーズでも十分な画質だと思います。
ボケ: フルサイズのほうがよくボケる
よく勘違いされますが、 センサーのサイズとボケの量に直接関係はありません。 しかし、 結果的にはフルサイズのほうが背景のボケた写真を撮りやすいです。
まず、 ボケの量は(同じF値のレンズであれば)焦点距離の長いレンズほど大きいという性質があります。
望遠レンズを使って撮影される写真はどれも背景がボケた写真ばかりですよね(下の写真は70-200mmの望遠レンズで撮影したもの)。
で、 「①画角」の項目で説明したとおり、 APS-Cの機種はフルサイズの機種よりも 写る範囲が狭いので、 同じ画角の写真を撮る時、 フルサイズの機種よりも広角なレンズが必要になります。 広角なレンズはボケにくいので、 結果「APS-Cの機種はボケにくい」となるわけです。
もっとも、 「ボケ」は表現方法の一つであって、 どんな写真でも背景をぼかせばいいというわけではありません。
「背景をぼかさずに写したい」というときはセンサーが小さい方が有利になるわけです。
フルサイズの方が高性能・高機能の場合が多い
フルサイズだから高性能・高機能というわけではありませんが、 フルサイズの機種は必然的にAPS-Cの機種よりも高性能・高機能なモデルばかりです。
APS-Cの入門機には専門知識がなくても撮れる「おまかせオート」みたいな機能がたくさんついていますが、 フルサイズの機種にはほとんどありません。「キレイな写真が撮りたいけど、 難しいのはイヤ」という人は注意が必要です。
フルサイズは使えるレンズが少なめ
フルサイズの機種では一部の安いレンズが使えません。
具体的には
- Nikon: レンズ名の最後に「DX」が付く、 レンズ鏡筒に「DX」のエンブレムがあるレンズ
- Canon: レンズ名が「EF-S」で始まるレンズ(「EF」はOK)
は、 フルサイズ非対応のレンズなので、 基本的に使えません。 一眼レフを使ってる方でも意外と知らないという方も多く、 「APS-Cの機種からフルサイズの機種に乗り換えたら、 今あるレンズがほとんど使えなかった」という体験談も(実話)。
フルサイズ機はカメラが大きくて重い・ASP-Cはコンパクト!
フルサイズのようにセンサーが大きい機種は、 センサー以外の部品(シャッターやファインダーなど)も大きくなるため必然的にボディもAPS-Cの機種より一回り大きくなります。
APS-Cの機種は高性能なモデルもありますが、 NikonのD5000系、 D3000系、 CanonのEOS kiss系のようなコンパクトな機種が人気です。
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さらに、 APS-C専用(フルサイズ非対応)のレンズはコンパクトな製品ばかりです。
対してフルサイズの機種は総じて重い機種ばかりです。
例えばフルサイズの「D850」は915gなのに対し、 APS-Cの「D5600」は415gと、 ペットボトル1本分の違いがあります(ボディ本体のみ)。
さらに、 フルサイズに対応のレンズは重い(レンズが大きいので)ものが多く、 なおさらです。
NikonはD610、 CanonはEOS 6D mk. IIという、 フルサイズ機としては比較的軽量な機種もありますが、 APS-Cのエントリーモデルの方が断然軽く、 散歩や旅行に持ってける重さです。
フルサイズの機種を買ったものの「重さ」に耐えられず、 持ち出すのが億劫になってしまったという人もいるようです。
価格もフルサイズの方が高い
一般的に、 フルサイズの機種はAPS-Cの機種に比べて高価なものばかりです。
APS-C機の場合、 エントリーモデルのD3000系(Nikon)やEOS Kissシリーズ(Canon)なら4万円ほどで入手できるものもあり、 高性能なモデルでも10万円台です。
しかし、 フルサイズの機種だと安価なモデル(EOS 6D mk. II)でも16万円ほど、 一眼レフの完成形と評されるD850は40万円くらいします。中古車が買えるお値段ですね。
これはもちろんセンサーの面積がAPS-Cサイズの約2.4倍で、 一度に製造できる量が限られることに加え、 センサーが大きくなると、 それ以外の部品(たとえばシャッターやファインダー等)もそれに見合うサイズ・クオリティのものを採用することになり、 価格はどんどん高くなってしまうからです。
さらに、 「使えるレンズ」でも説明したとおり、 フルサイズの機種では使えるレンズが軒並み高価なものばかりで、 一通り揃えるのにも苦労します(せっかくいいカメラを買ったら、 いいレンズを付けたいところ)。
APS-Cが向いている人・フルサイズが向いている人の特徴まとめ
両方の機種を使っている自分からすると…それぞれの機種は以下のような方に適しています。
APS-Cの機種が向いてる人
- とりあえず一眼レフ・ミラーレスを楽しんでみたい(そこまでガチじゃない)
- 気軽にお散歩・旅行に持ち出したい
- スポーツやモータースポーツ、 鉄道写真など望遠撮影が多い
正直殆どの人はAPS-Cで満足できると思います。
とくに人気が高いのはEOS kiss x9i。
コスパが高いので初心者にもおすすめです。
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フルサイズの機種が向いてる人
- 風景写真やポートレートがメインで、 画質に絶対的なこだわりがある
- 本格的・特殊な撮影がしたい
- 星野写真、 天体写真…
- 様々なレンズを使いたい
フルサイズの機種は総じて高機能・高性能なモデルが多く、 星野写真や天体写真を撮影する場合はフルサイズが前提となっているようです。
また、 「いまはまだ初心者だけど、 たくさん使って本格的な写真を撮れるようになりたい」という人も、 迂闊に初心者向けのを買うよりもD610や6D mk. IIのような比較的安価なフルサイズ機がいいかもしれません。
僕の周りでも「ここまで写真にハマるなら、 最初っからフルサイズにしとけばよかった」という人、 少なからずおります。
フルサイズ機で特に人気なのはSONYのαⅢ。
20万近くするものの高い人気があります。
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それぞれの機種ではどんなカメラが人気なのか、人気ランキングなどをチェックしてみて検討するのもオススメですよ!