さて、そろそろスマホのカメラやコンデジやエントリーモデルの一眼レフを卒業して、もう少しスペックが高い新しい一眼レフに乗り換えようかな、などと考えている方はいませんか?
ここで日本を代表するカメラメーカーであるCanonから新しいミドルクラス一眼レフであるEOS 90Dが発売されています。
最近キヤノンからはEOS Kiss X10というエントリー向けの一眼レフが発売されてPicky’sでも記事を作成したりしましたが、それとは全く違うカメラです。
一体どこがいいのか?買うべきなのか?これまで様々なカメラを触ってきた私が解説します。
目次
EOS 90Dとは
EOS 90Dってどんな人にオススメ?
まず、はじめにどんな人が買うべきカメラなのかを並べてしまいましょう。
EOS 90Dを選ぶべき人
- もう少し本格的なカメラに乗り換えたいと考えている初心者と中級者の間にいる人
- 高性能なサブ機が欲しいと考えている中級者、上級者の人
- スポーツシーンや動物や電車や飛行機など比較的動きが速いものを撮りたいと考えている人
- 高画素機を使ってみたいと思っている人
- APS-C機で焦点距離を稼ぎたいけど解像感はあまり落としたくないと考えている人
こういう人は、EOS 90Dを買って嬉しくなれる人です。
EOS 90Dを選ぶ必要がない人
- 初心者向けで操作がわかりやすいカメラが欲しい人
- とにかく軽い一眼レフが欲しい人
- 可愛いカメラが欲しい人(”いや、あの黒くてゴツいのが可愛いんだ!”という方は例外です。)
- フルサイズ機が欲しい人
逆にこのような人にはEOS 90Dは向いていない可能性があります。見ればわかりますが『The 一眼レフ』といったデザインなので、そこで印象が分かれるかもしれません。
EOS 90Dの位置付け
このカメラは2016年の3月に発売されたEOS 80Dの後継モデルとなる機種で、3年半の期間を経て名前的には後継機が出た形になります。「名前的には」と言ったのは、90Dは80Dからかなり変わっているからです。
さて、CanonはEOS 90Dを「ミドルクラス」と分類しています。つまり、つまりエントリーモデルのKissX9iやX10より上のモデルということになります。Kissシリーズなどではカメラに深い知識がない人が使っても、メニュー画面の説明が優しかったりしましたが、ミドルクラス以上のカメラは基本的に自分でカメラのそれぞれの機能を理解して使えるようになった人を対象としています。そのため、Kissシリーズのような優しい説明などは基本的に省かれています。小学校と中学校のテスト問題の差くらいでしょうか、エントリークラスのカメラを使っていた人は何か突き放された感じがするかもしれませんね。ただ、オート機能はエントリーモデルと同じくらい充実しているので、簡単な設定だけで綺麗に撮影できる手軽さも残っているのが嬉しい。そんな機種です。もちろん、各種設定を自分で変えて自分好みの写真を撮影することもできます。
EOS 90Dってどんなカメラ? 外観をチェック
スペックを見て驚く前に外観をチェックしましょう。
「I am a camera!!」といわんばかりのデザインですね。この中でも注目したいのが、3枚目の操作パネルが映った写真です。このカメラにはジョイスティックと、SETボタンの周りが八方向に動くマルチコントローラーになっています。AFの測距点を動かしたりするときに非常に便利です。これまでは主に高級機種についていましたが、操作性がよく人気のためか90Dにもしっかり搭載されているあたり、評価が高いです。
サイズ
サイズは画像の通りです。詳しくはスペック表にも書いてありますのでご覧ください。
まあ、一眼レフカメラとしては普通の大きさでNikonのD7500などと近い大きさですが、エントリーモデルであるEOS KissシリーズやNikon D5000シリーズやD3000シリーズなどと比較してしまうと少し大きめかと思います。
EOS 90Dってどんなカメラ? スペックをレビュー
価格
現時点での価格はボディー単体が16万円くらい、レンズキットが19万円くらいとなっています。
この後出てくるスペックを考えれば安いとすら思えてくる絶妙な値付けですね。ぜんぜん買いだと思います。
付属品
EOS 90Dを買うとついてくる付属品を紹介します。
- EOS 90D本体
- バッテリーパック LP-E6N
- バッテリーチャージャー
- ワイドストラップ
以上の4点と説明書などが箱の中に入っています。
レンズキット ボディーだけ買うよりお得
価格のところでも述べましたが、EOS 90Dにはレンズキットがあります。付属するレンズは以下のものです。
焦点距離は18mmから135mm、APS-C機なので35mmフルサイズ換算では29mmから218mmになります。F値は3.5から5.6とのことなのでいわゆるレンズキットにセレクトされやすいスペックのレンズですね。でも広角から望遠まで1本でオールマイティにこなせるので初心者には優しいレンズなのかもしれません。ただし、iPhone11レベルの広角撮影は出来ないので、広角で撮影したいと言う方は別にさらに広角なレンズを購入すると楽しい写真の世界とレンズ沼に同時に足を踏み入れることができます。
このレンズ、単体で買おうとすると1本5万円ほどします。レンズキットを購入すると現時点で3万円ほどで購入できる計算になりますので、お得感があるかなと言う感じです。とりあえず1本目のレンズが欲しいと言う方はぜひレンズキットを検討してみてくださいね。
つまり、レンズ依存症っていう感じになります。
スペック表
まず、簡単にスペックをまとめてしまいます。さらに詳しいスペックが知りたければCanonの公式ページをご覧ください。
名称 | EOS 90D |
レンズマウント | キヤノン EFマウント |
寸法(幅×高さ×奥行き) | 約140.7×104.8×76.8mm |
質量 | 本体のみ:619g バッテリ、SDメモリーカードを含む:約701g |
有効画素数 | 約3250万画素 |
ISO感度 | ISO 100〜25600 |
記録媒体 | SDメモリーカード SDHCメモリーカード SDXCメモリーカード (UHS-II、UHS-Iカード対応) |
連続撮影速度 | ファインダー撮影時 最大10コマ/秒 ライブビュー撮影時 最大11コマ/秒 |
連続撮影可能枚数 | JPEGラージ/ファイン:約57枚 RAW:約24枚(RAW+JPEGラージ/ファイン:約23枚) C-RAW:約39枚(C-RAW+JPEGラージ/ファイン:約37枚) |
電池寿命 | 静止画(常温):ファインダー撮影時 約1860枚 ライブビュー撮影時 約510枚 動画:約210分(フルHD 29.97fps) |
画素数 発売日から少したってもなおトップ
表を見て特に注目していただきたいのがまず画素数です。3250万。初めてスペックを見たときは誤植かと思いました。これは、過去のカメラセンサーのデータベースを見てもAPS-Cサイズのセンサーでは前例がなく、なんじゃこりゃっていう数です。今までのAPS-C一眼レフ機の有効画素数が2400万から2500万くらいだったので、だいたい1.5倍くらいの画素密度になっているということになります。非常に解像度が高いので高画素機をメインとしている人にとってのサブカメラとしても非常に優秀だと思います。APS-Cサイズなのでシステム全体も軽くなりますし。 センサーのサイズについては過去の記事でも紹介してありますのでこちらからご覧ください。
フルサイズ とAPS-Cの違いとは?イメージセンサーを比較する9つのポイント
ISO感度 高感度が少し低い気もするがあまり気にならない
EOS 90DのISO感度は100から25600までの範囲です。夜景などでも全然対応できるカメラになっています。最新のカメラとしては最高が少し低めかなという気もしますが、それは3250万画素あるという事実を考えれば納得できます。別に常用感度だからと言ってもノイズだらけになってしまう事はあるので、そこまで気にする必要はないかなという感想です。
関連記事:暗所でも綺麗でブレ知らず!高感度カメラおすすめ11選!5万円台で安いモデルも
AF ライブビュー撮影で化ける
表には書いていないんですが、EOS 90DのAFは45点の測距点を備えています。これは写っている範囲の中であらかじめ決まっている45個の点の中のどこかにピントを合わせるという事で、基本的には測距点が多い方が自由度が高く、特に画面の中を縦横無尽に動き回るものを撮影するときなどは数の力を感じるといった場面もありあます。最近ではカメラメーカーはAFの性能で競い合っているところもあります。
ここで45点という数字についてですが、正直、ここまでのスペックを備えているだけに少し残念に感じます。もちろん一眼レフカメラの中で45点を備えていればそこそこのスペックであると言えます。しかし、EOS 90DはAPS-C一眼レフの中でもかなり上位に立つことのできる機種です。本来はEOS 7D Mark iiと同じ土俵にいてもおかしくないはずなので、せめて7D Mark iiくらいには頑張ってもらいたかったという思いもあります。
ただし、ここまでの話はあくまでファインダーをのぞいて撮影するファインダー撮影時での話です。
問題はミラーレスカメラスタイルで使うライブビュー撮影時のAFです。
キヤノンのお家芸ともいえるイメージセンサーを丸ごとAFのセンサーとして使うデュアルピクセルCMOS AFという技術を使うことで、測距点の設定が最大で5481点もあるという、これまた誤植かと思ってしまうほどのスペックに化けます。こんなに多いといちいち選んでる暇がないような気もしますが、自由度の高さという点では目を見張るものがあります。そこまで新しい技術ではないですが、これもいつ見てもすごい。
連写性能 ハイエンド機にも並ぶ
いくら速くシャッターが切れたとしても、メモリーカードには高画素な写真を毎秒10枚も書き込めるほどの転送速度がありません。連写中に写真の書き込みが間に合わなくなって撮影が止まってしまうという事態を防ぐために、撮れた写真データを一時的にとても速いカメラ内蔵のメモリー(バッファメモリーという)に蓄えておいて、撮り終えてからゆっくりメモリーカードに書き込もうというじゃないかという機能が付いています。バッファメモリーがいっぱいになると連写が止まるため、バッファメモリーにどれだけの写真を溜められるかも連写性能に大きく関わってきます。
次に見ていただきたいのは連写性能です。EOS 90Dはシャッター的には毎秒10枚もの写真を撮ることができます。ファインダーで毎秒10コマを超えてくるとかなり速い。というか爆速の域に突入しつつある。と言えますが、ここでバッファメモリーの容量は一体どうなっているのかというと、連続撮影可能枚数の欄を見てください。
JPEGラージ/ファイン設定で連続57枚の撮影が可能です。しかし、3250万画素を超えるカメラでここまでの連写性能を持っているとは正直驚きです。もはや、ミドルクラスとは?と考えてしまいます。
この連写性能は、運動会などスポーツの撮影、電車や飛行機、モータースポーツ、また動物などの撮影にも適しているかと思います。
動画性能 バリアングル液晶で自撮りもバッチリ
意外と気にする人が多いのが、動画性能です。特にキヤノンの2桁DシリーズはYouTuberなどのクリエイターたちにも愛されてきたカメラです。その理由はレンズ交換ができるカメラながら簡単に扱える手軽さと自撮りが楽なバリアングル液晶の存在です。
EOS 90Dでもその機能は引き継がれています。動画機能としてはついに4Kの撮影ができるようになりました。フレームレートは30fpsで1秒あたり30コマの映像が撮影できます。(フルHDでは60fpsも可能)記録はMP4形式でビットレートはフルHDの60fpsの映像で60Mbpsくらいだそうです。映画の撮影に向くかと言われれば難しいかも知れませんが、個人が記録として残す映像としてのクオリティーは十分でしょう。
電池持ち 明らかに良くなっている
肝心なシャッターチャンスに限ってバッテリー切れ。ということがあると、それはもうがっかりしますよね。そんなことをなるべく起こさないようにするためにも見ておきたいのが、一回バッテリーフル充電したらどれくらい使えるの?というスペックです。
EOS 90Dはファインダーを使って常温で撮影したときに約1860枚もの写真が撮れます。バッテリー持ちの測定の条件が一緒であるかは定かではないんですが、ホームページのデータを見たままに解釈すると、なぜか90Dは80Dの倍もバッテリー持ちがいいんです。同じLP-E6バッテリーを使っているのに。不思議な感じですが、意外と多く撮ることができますね。しかし、大切な撮影では万一に備えて予備のバッテリーは忘れないようにしましょう。
防塵・防滴性能 ここまで考えてたか。
EOS 90Dは防塵・防滴に考慮した設計がされています。各所に水や埃の侵入を防ぐシリコン製の部品が取り付けられており、雨が降りそうな屋外でも安心感を持って撮影に臨むことができます。
ただし、「防水」設計ではない点と、ついているレンズが防滴設計でない可能性があることにご注意ください。
アクセサリー
カメラを便利に使う上で揃えておきたいアクセサリー。EOS 90D用のものを少しピックアップしてみました。
まずはバッテリーグリップ。これはカメラに追加のバッテリーをつけることができるだけでなく、縦持ち用のグリップとシャッターボタンやAFボタンがつくものです。バッテリー持ちが不安な時や、縦構図の写真をメインに撮るときにはあると便利かもしれませんね。
次はリモートスイッチです。これは、三脚にセットしたカメラをなるべく揺らしたくないときなどに遠隔でシャッターを切ることができるものです。また、シャッターボタンを押しっぱなしにしたような状態にもできるので、長時間露光などでも有用です。
作例
ここではEOS 90Dで撮影された作例写真を見ていきます。
1枚目の写真からは非常に高い解像感が伝わってきます。3250面画素のカメラならではといったところでもありそうですね。
そして2枚目の写真は顔AFですね。被写体の中でも人の顔を探してフォーカスを合わせ続けてくれます。動いている人、作業風景などを撮影するときなどに役立ちそうな機能です。
3枚目は1点AFです。こちらを見ている猫の顔にしっかりフォーカスが当たっていて手前の木の部分には合っていません。画面の真ん中の被写体にピントを合わせてくれる機能は狙った構図をバシッと撮りたいときに有効です。
全体的に高い解像感、ノイズの少なさ、そして濃すぎない程度の程よい発色が見てとれます。スペックの数値上だけではなく実際にポテンシャルの高いカメラであることが窺えますね。
まとめ このカメラ、買いです。
この記事を書くにあたってまたこのカメラを色々と調べたんですが、何回見ても”すごいな”と思ってしまいます。なかなか珍しいですよねここまで攻めてくるカメラも。このスペックのカメラをミドルクラスとして出してくるということは、Canonも相当な覚悟があってのことだと思います。そうこうしているうちに発表された一眼レフ最上位モデル、EOS 1D X Mark IIIも前世代機と比べて非常に性能の高いカメラになってきているので、今後のCanonの一眼レフカメラのラインアップにも期待大です。
話をEOS 90Dに戻しますと、ともかく今一眼レフカメラが欲しいという方は一度検討すべきカメラだと思います。しっかりした基本性能に加えて高い連写性能と解像感、さらにはバッテリーの持ちや防滴までも実現していますので、これを購入しておけばこれから長く使っていける大切な一台になるはずです。