VPNの種類には、法人向けの「ビジネスVPN」と個人向けの「パーソナルVPN」があります。さらに、ビジネスVPNには4種類あり「インターネットVPN」「エントリーVPN」「IP-VPN」「広域イーサネット」に分けられます。
しかし、これらのVPNはすべて仕組みや接続方法が異なるため、一発で理解するのは困難。VPNを利用してみようと思ったときに「自分に合っているVPNがわからない」「違いがわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、VPNの種類について徹底解説します。どの種類がどんな人におすすめなのか紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
VPNには法人向けの「ビジネスVPN」と個人向けの「パーソナルVPN」がある
前提として、VPNには大きく分けて、ビジネスVPN・パーソナルVPNの2種類があります。それぞれ利用目的が異なるので、用途に合った方を選びましょう。
法人利用なら拠点間を接続できる「ビジネスVPN」
法人でVPNを利用する方におすすめなのがビジネスVPNです。ビジネスVPNは離れた拠点のネットワークを接続するのに使用されます。
例えば、本社が東京に、支社が福岡や北海道にある場合、物理的な回線で拠点間を接続するのは難しいですよね。ビジネスVPNを使えば、専用線を用意しなくても、本社・支社間で同じネットワークを利用しているような感覚で情報を送受信できます。また、社外からネットワークにアクセスできるため、リモートワーク時にも役立ちます。
具体的な利用方法や仕組みについては、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:VPN接続の仕組みとは?ビジネス用途や個人向けにわかりやすく解説!危険なデメリットも
個人利用ならインターネットを安全に利用できる「パーソナルVPN」
個人で安全にインターネットを利用したい方におすすめなのがパーソナルVPNです。VPNルーターなどの設置などの準備が必要なビジネスVPNとは異なり、契約・設定をすれば利用できる手軽な個人向けサービスとして提供されていることが多いです。
おすすめのパーソナルVPNサービスには「ExpressVPN」や「NordVPN」などがあります。
関連記事:【高速で繋がる】ExpressVPNの評判・料金を調査!速度や使い方もレビュー
パーソナルVPNを使えば、第三者にデータを傍受されるのを防げます。具体的にどのようにしてセキュリティに役立つか気になる方は、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。
関連記事:VPNでセキュリティ強化ができる3つの理由!セキュリティソフトとの違いも解説
関連記事:フリーWi-Fi利用時はVPNを使った方がいい?危険性や必要な理由を解説!
ビジネスVPNの種類は4つ!セキュリティ・コスト・通信速度で選ぼう
ビジネスVPNの中には、さらに4つの種類があります。セキュリティ強度・コスト・通信速度などに違いがあるので、自分が重視するポイントに合わせて選ぶのがおすすめです。
種類 | セキュリティ強度 | コスト | 通信速度 |
---|---|---|---|
インターネットVPN | 低い | 安い | インターネット回線が混雑すると遅くなる |
エントリーVPN | 中程度 | 中程度 | インターネット回線が混雑すると遅くなる |
IP-VPN | 高い | 高い | 速くて安定している(帯域保証あり) |
広域イーサネット | 非常に高い | 非常に高い |
速くて安定している(帯域保証あり) |
コスト重視の方におすすめな「インターネットVPN」
できるだけコストをかけずにVPNを導入したい場合には、インターネットVPNがおすすめ。インターネットVPNはインターネット上にVPNを構築するため、手軽に導入できるのが魅力です。
自力での導入もでき、業者に依頼しても他のVPNほど費用がかかりません。初期費用として専用機器の購入・レンタルに数万円。業者を利用した場合は追加でランニングコストが月額5,000円程度。業者を使わなければ、設定完了後の月額費用は無料です。
自力での導入を検討している方は、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:【OS別】VPNの接続設定方法をパソコン・スマホごとに詳しく紹介!
ただし、インターネットの公衆回線を利用するので、セキュリティが万全とはいえないのがデメリット。また、夕方のようなインターネット回線が混む時間帯になると、通信速度が落ちてしまいます。
コスト・セキュリティのバランス重視の方におすすめな「エントリーVPN」
コストは抑えたいけどセキュリティも重視したい場合には、エントリーVPNがおすすめです。エントリーVPNは通信事業者の閉域網を利用するため、インターネット回線よりもアクセスできるユーザーが限られます。悪意のあるユーザーが入り込みにくくなるので、セキュリティが強固になります。
コストは初期費用が5万~10万円、ランニングコストが月額1万円程度と安価。中小企業でも気軽に導入できます。
ただし、閉域網にアクセスするまでは、個人でも使われるブロードバンド回線を利用する点は要注意。インターネット回線の混雑状況によって通信速度が下がってしまいます。また、セキュリティも万全とはいい切れません。
セキュリティ・通信速度を重視したい方におすすめな「IP-VPN」
セキュリティと通信速度を重視したい場合には、IP-VPNがおすすめです。IP-VPNは通信事業者の閉域網を利用するため、通信事業者と契約していない第三者が侵入してくるリスクが低いです。
また、帯域保証があるのもポイント。帯域保証とは最低限の通信速度を保証してくれるサービスのことで、安定した速度でインターネットを利用できます。
デメリットはコストが高い点。初期費用は5万~10万円で、ランニングコストは月額5万円程度です。IP-VPNを利用する場合、プランやVPNサービス提供会社によって価格の変動が大きいので、相場をあてにせず見積もりを出してもらいましょう。
カスタマイズ性にこだわりたい方におすすめな「広域イーサネット」
専門的知識を持ったスタッフを用意でき、カスタマイズ性にこだわりたい場合には、広域イーサネットがおすすめです。広域イーサネットは通信事業者の閉域網の中でも、イーサネットという有線LANケーブルの規格を利用するのがポイント。IP-VPNと構成は似ていますが、IP-VPNはIPのみを対象として構成されているのに対し、広域イーサネットでは複数のプロトコルに対応しています。
プロトコルをカスタマイズすれば、データ形式・パケットの構成などを自由に変えられるため、システムの柔軟性が求められる企業におすすめ。ただし、設定の難易度が高く、専門知識を持ったスタッフが必要です。
また、コストも高額で、初期費用だけで10万円程度、ランニングコストは月額10万円以上かかります。広域イーサネットは従量制のケースが多く、使い方によって料金が大幅に変わります。快適な通信速度やデータ通信量を確保するには、月額100万円以上かかるケースも多いです。データ形式・パケット構成などのカスタマイズが不要な場合は、IP-VPNの方がおすすめです。
インターネットVPNで利用される主要なプロトコルを比較
プロトコルの種類 | 特徴 |
---|---|
SSL |
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IPsec |
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L2TP |
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PPTP |
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ikev2 |
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OpenVPN |
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インターネットVPNとの接続方式は、上記のようなプロトコルから成り立っています。プロトコルは、トンネリング・カプセル化・認証・暗号化などを実行してくれます。トンネリング・カプセル化・認証・暗号化について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
関連記事:VPN接続の仕組みをビジネス用途や個人向けにわかりやすく解説!危険なデメリットも
プロトコルは組み合わせて使われるケースが多いです。例えば、L2TPとIPsecを組み合わせれば、安全性を確保しながら、スマホ・タブレットなどの端末からリモートアクセスしやすくなります。
インターネットVPNは、IPsecを利用するIPsec-VPNと、SSLを利用するSSL-VPNの2種類に大きく分けられます。セキュリティ重視ならIPsec-VPNがおすすめです。ただ、IPsec-VPNを利用するにはクライアントソフトのインストールが必要なので、導入に手間をかけたくないならSSL-VPNがおすすめです。
編集部
セキュリティリスクについて以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:Hola VPNの悪評は本当?安全性・使い方・料金・懸念点を徹底解説!
VPNの種類まとめ
VPNにはさまざまな種類があり、選ぶのが難しく感じる方も多いですよね。しかし、目的をはっきりさせれば自分に合ったVPNの種類が簡単にわかります。
- 個人利用ならインターネットを安全に利用できる「パーソナルVPN」がおすすめ
- 法人利用でコスト重視なら「インターネットVPN」か「エントリーVPN」がおすすめ
- 法人利用でセキュリティ・通信速度重視なら「IP-VPN」がおすすめ
- 法人利用でカスタマイズ性にこだわりたいなら「広域イーサネット」がおすすめ
以上を参考に、自分に合ったVPNの種類を見つけましょう。