VPNを利用するとインターネット上での匿名性を高めることが可能です。しかし「VPNで具体的にどんな情報を守れるの?」「テレワークでVPN接続中に仕事をサボっていると会社にバレる?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、VPNの匿名性について徹底解説。どんな情報を隠せて、どんなことがバレるのかご紹介します。
目次
VPNで匿名性は確保される?どんな人がVPNを使うべき?
VPNには、トンネリング・カプセル化・暗号化など匿名性を確保する技術が使用されています。そのため、通常通りインターネットに接続するよりも、VPNを利用してインターネットに接続する方が確実に匿名性を上げることが可能です。
なぜ匿名性があがるのかについては、VPNの仕組みについて理解することでわかります。VPNの詳しい仕組みが気になる方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
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インターネット上での活動をできるだけ知られたくない方、データの傍受が怖い方にとってVPNは効果があります。具体的にどんな情報を保護してくれるのか、以下でご紹介します。
VPNで守られるプライバシーは?具体的に何がわからなくなるのか解説
VPNで守られるプライバシーは主に2つです。それぞれ詳しく解説します。
アクセスしたサイトに、どこからアクセスしたかがわからなくなる
VPNを使えば、アクセスしたサイトにIPアドレスがバレるのを防げます。IPアドレスとは、ネットワーク上の住所のようなものです。IPアドレスがわかっても住所の詳細まではわかりませんが、どの国のどの地域からアクセスしたか程度の情報はバレます。
できるだけサイトに情報を渡したくないと考えている方にとって、VPNは有効です。また、サービスを利用する際、日本以外の国からアクセスしているように認識させるためにVPNを使用している人もいます。詳しくはこちらの記事で紹介しているので参考にしてみてくださいね。
関連記事:VPNを使えばIPアドレスの国を変更できる!手順やメリットをご紹介
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データが暗号化され、通信を傍受されにくくなる
VPNを利用すると通信データが暗号化され、傍受されにくくなります。そのため、リモートワークで重要なデータを扱う際はVPNが必須です。情報漏洩を防ぐセキュリティについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
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VPNを使っていてもバレる可能性のある通信は?
VPNを使えば匿名性が完全になるわけではありません。具体的にどんな情報がバレる可能性があるかご紹介します。
プロバイダには通信内容のログが残る
VPNを利用しても、インターネット回線を提供しているプロバイダには記録が残ります。他にもインターネットを利用する際にはさまざまな記録が残るため、警察のような専門機関に調べられると必ず特定されます。インターネット上に完全な匿名性は存在しないことを理解して、正しくインターネットを活用しましょう。
VPNへ接続していることはバレる
サイトにアクセスするとVPNサーバーのIPアドレスが記録されるので、VPNを利用していることはバレます。アクセスされたサイトの運営者は、そのVPNからの接続をブロックすることが可能です。
またVPNの利用を制限・禁止している国でVPNを使った場合、サイトへのアクセスがブロックされます。VPNを制限・禁止している国は、以下の記事を参考にしてみてください。
会社のVPNはログを記録していてサボりがバレる可能性あり
会社のVPNを利用して仕事している場合、サボりがバレる可能性があります。会社のVPNはログを残しているケースが多く、サイトや自社ネットワークへのアクセスログを確認できます。
ただし、パソコン上の全ての動きを把握されるわけではありません。例えば、WordやExcelでの書類作成のような、インターネットを使わない作業はVPNにログが残りません。業務に無関係なサイトにアクセスしたり、インターネットを使うはずなのにログに残る行動をしなかったりしたときにサボりがバレます。
編集部
VPN利用に関するデータが調べられる可能性
まずあり得るのが、VPNサービス運営会社によるログの保管リスクです。匿名性を確保したいなら、ノーログポリシーを採用しているVPNを利用しましょう。
ノーログポリシーとは、VPNの運営会社が利用者のログを記録しないと約束すること。ノーログポリシーのないVPNを利用する場合、ログを第三者に販売されるリスクがあります。ログがバレてしまうと、IPアドレスを使ってサイバー攻撃をされたり、ターゲティング広告を表示されたりする可能性があります。
また、ログを残していることによりサーバーがある国の調査機関が入った際にデータを開示されてしまうリスクがあります。
ただし、ノーログポリシーを採用していると宣伝するだけなら、どのサービスでもできる点は要注意。第三者機関の監査を受けているか、評判のいいVPNか、といったポイントもしっかりチェックしましょう。
例えば「ExpressVPN」や「NordVPN」はノーログポリシーを掲げているVPNサービスです。
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また、VPN接続時にDNSクエリが適切に暗号化されていない場合、インターネットサービスプロバイダーやDNSプロバイダーにアクセス先の情報が漏洩する可能性があります。さらに、WebRTCという技術によってブラウザから実際のIPアドレスが漏洩することや、ブラウザフィンガープリントという技術も追跡に使用されます。
これは、ブラウザの設定やインストールされているフォント、画面解像度などの組み合わせで個人を特定する方法です。これらの情報はVPNを使用しても変わらないため、トラッキングに利用される可能性があります。
クッキーとローカルストレージも追跡の手段となります。VPNを使用してもブラウザに保存されたクッキーは維持されるため、以前のセッションと紐付けられて追跡される可能性があります。
さらに、ユーザーの行動パターンを分析することでも追跡が可能です。アクセスするサイトやコンテンツのパターン、オンラインでの活動時間帯、キーボード入力の特徴などから個人を特定できる場合があります。
これらのリスクに対処するためには、DNSリークを防ぐ設定の確認やブラウザの設定最適化、定期的なクッキーの削除、そして信頼できるVPNプロバイダーの選択など、複数の対策を組み合わせることが重要です。ただし、完全な匿名性を確保することは非常に困難であることを理解しておく必要があります。
無料VPNのリスク
無料VPNが抱えるリスクとして、運営コストを賄うためユーザーデータを広告企業に販売したり、マルウェアを埋め込んだりするビジネスモデルを採用することがあります。また、セキュリティ対策が不十分で、データ暗号化が適切に行われていない場合も多く見られます。
過去の事例としては、2015年、無料VPNサービスのHola VPNでは、ユーザーのネットワーク帯域が他のユーザーの出口ノードとして使用され、ボットネットの一部として悪用されていたことが発覚しました。これにより、ユーザーは知らないうちに違法行為に加担させられる危険性にさらされていました。
2017年には、人気の無料VPNアプリ「Hotspot Shield」がユーザーの位置情報やブラウジングデータを収集し、広告企業に販売していたことが明らかになりました。これは個人情報保護の観点から重大な問題として指摘されました。
2020年には、香港を拠点とする複数の無料VPNサービスが、ユーザーのブラウジングデータを中国本土のサーバーに送信していたことが発覚しました。これらのVPNは合計で数億回ダウンロードされており、多くのユーザーのプライバシーが侵害された可能性があります。
また、2022年には「SuperVPN」「GeckoVPN」「ChatVPN」といった無料VPNアプリから2100万件以上のユーザーデータが流出し、ダークウェブで販売されるという事件が起きました。流出したデータには、メールアドレス、暗号化されていないパスワード、支払い情報などが含まれていました。
そのため適切なセキュリティ対策、安定したサーバー運用、明確なプライバシーポリシーが提供されている大手のしっかりした有料サービスを利用することをおすすめします。
VPNの匿名性のまとめ
VPNはインターネット上で匿名性を確保するために欠かせないサービス。ターゲティング広告を表示されたり、サイバー攻撃の対象になったりするリスクを減らせます。
- プロバイダには通信内容のログが残る
- VPNへ接続していることはバレる
- 会社のVPNはログを記録していてサボりがバレる可能性あり
上記のリスクを理解して、安全にインターネットを利用しましょう。