ネットワークの安全性・拡張性を高めてくれる「VPN」。VPNを使うメリットとしては匿名性の向上があり、VPNを使用することで、インターネットサービスプロバイダー(ISP)や訪問先のWebサイトから見える接続元IPアドレスが、VPNサーバーのものに置き換わり、実際の地理的位置や接続元が秘匿されます。
しかし、インターネット上の住所であるIPアドレスを隠せたり、日本から海外のサービスにアクセスしたりできるため、「これって違法にならないの?」と、心配になってしまう人も多いでしょう。
そこで今回は、VPNの使用における違法性についてPicky’s編集部が解説。「日本でVPNは合法?違法?」「VPNの使用が違法な国ってどこ?」といった疑問を解決しています。VPNを使う際の注意点やおすすめの使い方なども紹介しているので、参考にしてみてください。
VPNの使用は違法?合法?国ごとの規制について
VPNの使用は、国によって違法か合法かが異なります。日本でVPNを使用できても、海外旅行や海外出張時には使えないケースもあるので、国ごとの扱いをよく理解しておきましょう。
日本やアメリカでは基本的に合法
- 日本
- 韓国
- 台湾
- タイ
- アメリカ
- シンガポール
- ベトナム
- イギリス
- オーストラリアなど
日本では、VPNの使用は合法です。個人情報の漏洩を防止・ネットワークの安定性を高める技術として、近年特に注目を高めています。ハッキングなどの犯罪目的でVPNを使わない限り、国内ではVPN接続を違法とみなされることはないでしょう。
また、韓国や台湾などの日本人訪問者が多い国でもVPNの使用を規制する法律はありません。むしろ、アメリカやイギリスなどでは日本より積極的に使用されています。
エジプトや中国では制限付きで使用できる
- エジプト
- 中国
- イラン
- トルコ
- インドなど
上記の国では、VPNの使用は違法ではないものの、厳しい制限が設けられています。使用するVPNプロバイダや用途によっては、罰金などを課される場合も。エジプトでは、VPN自体は使えるものの、VPNを活用して閲覧禁止のサイトを開こうとすると、罰金・刑罰の対象になります。
また、イランや中国では、政府が認めたVPNの使用のみ合法と定められています。ただし、使用履歴などを政府によって監視される可能性がある点は注意。さらに、認可されていないVPNを使用すると、懲役刑を科されてしまいます。
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規制の厳しいロシアや北朝鮮では違法になる可能性がある
- 北朝鮮
- ロシア
- イラク
- ベラルーシ
- トルクメニスタンなど
上記で挙げている国では、基本的にVPNは使用できません。ロシアは、VPNの使用が完全に違法というわけではありませんが、近年VPNの規制が厳しくなっています。国が承認していないプロバイダは使用が禁止されているため、VPNは自由に使えないと考えていいでしょう。
イラクや北朝鮮では、VPNの使用は完全に違法とみなされます。過去にはVPNを使ったユーザーが逮捕されたこともあり、インターネットの使用には注意が必要です。
参考:VPNは合法ですか? 2024 年の VPN 法の説明 |サイバーニュース
各国のVPN制限の背景
中国
中国では、いわゆる「グレートファイアウォール」の一環として、政府が承認していないVPNの使用を厳しく制限しています。この背景には、国内のインターネット空間における情報統制の維持という目的があります。
中国政府は、外国のソーシャルメディアやニュースサイトへのアクセスを制限することで、国内の情報環境をコントロールしようとしています。ただし、政府認可を受けたVPNや、特定の企業向けVPNは許可されており、これは国際ビジネスの需要に対応するためです。
ロシア
ロシアでは、2017年にVPN規制法を制定し、政府がブロックしたウェブサイトへのアクセスを可能にするVPNサービスの使用を禁止しています。
この規制の背景には、国家安全保障の確保と、政府による情報管理の強化という目的があります。特に、政府批判的な内容や、政府が「有害」とみなす情報へのアクセス制限を強化する意図があります。
ベラルーシやトルクメニスタンなどの一部の旧ソ連諸国でも、政治的な理由からVPNの使用を制限しています。これらの国々では、政府による情報統制と、反体制的な活動の抑制が主な目的とされています。
中東諸国
イランでは、政治的な抗議活動の抑制と宗教的な価値観の保護を理由に、VPNの使用を厳しく制限しています。
政府は特に、社会的な不安定化につながる可能性のある海外のソーシャルメディアへのアクセスを制限しようとしています。ただし、一部の承認されたVPNは、学術研究や特定のビジネス目的で使用が許可されています。
アラブ首長国連邦などの中東諸国では、宗教的・文化的な価値観の保護を理由に、VPNの使用を制限しています。特に、宗教的な規範に反するコンテンツへのアクセスを防ぐことを目的としています。ただし、ビジネス目的でのVPN使用は一般的に許可されており、国際的なビジネスハブとしての地位を維持するための配慮が見られます。
技術的な観点では、VPN制限の実施方法も国によって異なります。一部の国では、VPNプロトコルの検出とブロッキング、VPNサーバーのIPアドレスの遮断、深層パケット検査(DPI)による通信の監視など、様々な技術的手段を組み合わせて制限を実施しています。
これらの制限に対して、一部のVPNプロバイダーは、検出を回避するための技術的な対策を講じていますが、このような対抗措置も各国の法規制に抵触する可能性があり、利用には慎重な判断が必要です。特に、ビジネス目的でVPNを使用する場合は、現地の法規制を十分に理解し、コンプライアンスを確保することが重要となります。
VPN使用時に違法にならないための注意点
日本のようにVPNの使用が認められている国でも、用途によっては違法とみなされることがあります。ここでは、VPNを使う際に注意したいポイント2つを解説します。
違法ダウンロードやハッキングなどの犯罪行為をしない
- 海賊版コンテンツのダウンロード
- サイバー攻撃
- ハッキング
- IPアドレスを隠した状態での誹謗中傷など
VPNの使用の有無に関わらず、海賊版コンテンツのダウンロードやハッキングなどの行為は犯罪です。日本やアメリカなどのVPNの使用が認可されている国でも、VPNを使って上記の行為を行った場合は罰金・刑罰を科される場合があります。
VPNの使用を禁止しているコンテンツを利用しない
海外の一部のストリーミングサービスでは、サービスエリア内での視聴のみを許可しており、居住地を隠したor偽った状態での視聴を禁止しています。VPNを使って海外から視聴した場合、違法とみなされる可能性があるので注意してください。
また、ゲームなどで海外でしか入手できないアイテムを獲得したり、コンテンツをダウンロードしたりするのもNG。最悪の場合、犯罪行為として罪が科せられます。オンラインサービスやゲームを利用する際は、利用規約にVPNに関するルールがないかを必ず確認しましょう。
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VPNの違法性についてのよくある質問
VPNでYouTubeやNetflixを見るのは違法?
VPN接続時のオンラインカジノは違法になる?
海外からVPNを使ってradikoを聞いてもいい?
VPNの違法性についてのまとめ
- 日本でのVPNの使用は正当な目的であれば合法
- ロシアや北朝鮮ではVPNの使用自体が違法になる可能性あり
- 正しくVPNを使ってネットワークの安全性を高めよう
今回は、VPNの違法性についてまとめました。日本・アメリカ・韓国などでは、VPNの使用は合法とされており、社内ネットワークの構築やWi-Fiの安全性向上に役立ちます。国の法律やサービスの規約をしっかりと理解して、VPNを正しく利用してくださいね。