近年、サイバー攻撃やデータ漏洩のリスクが増大する中で、Macユーザーも例外ではありません。
多くの人が「Macは安全だからセキュリティソフトは不要」と考えがちですが、それは過去の話です。
現在のサイバー環境では、MacもWindows同様に標的となることが増えています。フィッシング詐欺、マルウェア、ランサムウェアなど、さまざまな脅威が日々進化しており、これらに対抗するためには最新のセキュリティソフトが不可欠です。
そこで重要なのが、信頼性の高いセキュリティソフトの導入です。ただ、セキュリティソフト業界はWindows向けのサービスが基本だったのでMac向けの対応をしていないソフトや、対応していると表記していても、実際にはWindowsと同じ機能を提供していない場合もあります。
本記事では、Mac向けの機能が充実しているセキュリティソフトを紹介していきます。
セキュリティソフトの選び方
セキュリティソフトを選ぶ際には、以下のポイントを重視することが重要です。
- リアルタイム保護:ウイルスやマルウェアをリアルタイムで検出・除去する機能。
- ファイアウォール:不正アクセスを防ぐための堅牢なファイアウォール機能。
- データ暗号化:重要なデータを暗号化し、第三者からのアクセスを防ぐ機能。
- ユーザーフレンドリーなインターフェース:使いやすさと直感的な操作性。
自分の欲しい機能が細かく分かる方は、その機能があるかどうかで選べば良いかと思いますが、あまり詳しくない方の場合は、ウイルス対策テストを事業として行っている世界中の独立系研究所から、良い評価を貰っているかで判断するのがおすすめです。
有名な機関を挙げると、ドイツのAV-Test、オーストリアのAV-Comparatives、イギリスのMRG-Effitas、SE Labsなどがありますが、AV-Test・AV-Comparativesのどちらかの評価が高いのがおすすめです。研究機関の公式サイトは日本語には対応していませんが、セキュリティソフト側が、自分たちが何かしらの評価を受けている場合は、その旨を書いていますのでそちらからも確認出来ると思います。
なお、注意点としては少し古い年度の評価しか書かれていない場合は、最近の評価が良くない可能性もあるのであまりおすすめ出来ません。
ここからは、具体的なおすすめセキュリティソフトとその特徴を紹介します。
おすすめセキュリティソフト
トレンドマイクロはロサンゼルス発祥ですが、現在は日本を本社とするグローバルセキュリティ会社です。
セキュリティテスト:トレンドマイクロ アンチウィルス for Macは、セキュリティツールの研究機関であるAV-TestとAV-Comparativesにおいて満点の評価を受賞しています。
AV-TEST:Award Best MacOS Security 2023
機能面:フルスキャンのスピードが他のソフトよりも早く、フィッシング対策が充実しています。Macのカメラとマイクの不正使用防止機能もついています。
また、ランサムウェア対策も充実しており、保護されたファイルへの不正な変更をすべて禁止することも出来るようになっています。
注意点:ペアレンタルコントロールについては、コンテンツフィルタリングに限定されているなど、そこまで充実してはいない点。
1台1アカウント必要で、複数台向けの値引きや安くなるセットがないので、複数台利用したい場合は単純に台数分の費用がかかります。
ノートンを提供するノートンライフロック(旧シマンテック)は日本でも有名で、30年以上の歴史があるサーバーセキュリティ会社です。
性能、サポートなどが非常に高いバランスでまとまっています。
セキュリティテスト:ノートン360は2023年のAV-Testにおいて満点の評価。AV-Comparativesでは2022年マルウェア対策部門でゴールド賞を受賞。
機能面:Mac向けのファイアーウォールあり。不要なファイルや重複ファイルをクリーンアップする機能もあり、Mac向けのセキュリティソフトでは珍しく、追加料金なしでVPNを利用可能です。
自分で好きな機能を使いこなすというよりは、お任せで全て対応してくれるタイプのソフトなので、コストは少し高めですが初心者におすすめのツールとなっています。
注意点:大手のソフトで内容も充実している分、価格が比較的高めです。
ソースネクスト社のZEROシリーズは、Bitdefender社の提供するエンジンを利用したセキュリティソフトです。
Bitdefender社は日本での展開はしていいないものの、英語圏においてはトップクラスの性能を誇るソフトを提供しています。
セキュリティテスト:Bitdefender社が提供している同じエンジンを積んだソフトウェアは、2022年のAV-Testでは軽さテストで年間1位を獲得。ZEROセキュリティ自体も、英国のウイルス技術専門誌「Virus Bulletin」でVB100awardを受賞しています。
特徴:ソフト自体の価格も安く、サブスク型ではなく買い切り型なのがポイント。一度購入してインストールすれば、インストールしたパソコンやスマホを買い替えない限り、期限なしで永久に使用できるコスパ最強ソフトです。
買い切り型で価格が非常に安いため、とりあえず何か有料ソフトを入れておきたい方や、軽い動作を求める方にはおすすめなソフトです。
注意点:安くて軽い分、セキュリティソフトとしての性能は、他と比べるとやや弱めです。一度インストールすると、他のPCやデバイスに移し替えは不可。
Bitdefender社が提供している同じエンジンを積んではいますが、Bitdefender社の製品と内容が完全に同じという訳ではない点は注意です。
アバストソフトウェアのセキュリティソフト、アバスト アルティメットは豊富な機能と高いウイルス検出力を誇る高性能ソフトです。
最大10台のデバイス(Windows、Mac、iOS、Android)で利用可能です。
セキュリティテスト:ほとんどの研究所のテストで満点近いスコアを出しています。マルウェアの特定と除去に関しても優秀で、AV-Comparitivesのレポートでは、99.97% という優れた検出率を達成しています。また、システム全体をくまなく調べるフルスキャンのスピードが速く、ほとんどの他社製品よりも高速です。
価格:1年 5,780円(2年目以降は12,580円)、3年版 9,890円(4年目以降は年間12,580円)。2回目以降の自動更新については、価格が通常価格になるので注意。
特徴:アバストには一部機能の制限された無料版(お試しではなく無料です)がありますので、まずはそちらを使ってみて、パソコンとの相性や使い勝手を確認してから有料に切り替えてもいいでしょう。
マイナス点:アバストは、2022年にノートンライフロックの一部門となっており、良いソフトではありますが、同じ料金帯であれば、ノートンで良いとなってしまう点。
マカフィー(McAfee)は、アメリカに本社があるコンピュータセキュリティの会社で、世界でもトップクラスの規模があります。
日本においてもノートンとともに、パソコンに初期に入っていることから有名なセキュリティソフトです。
セキュリティテスト:マカフィーのソフト自体は、AV-Testでは18ポイントで満点、SE LabsでもAAAなど、複数の研究所のテストで高得点を出しており、特にマルウェア対策テストでの評価が高いです。
機能面:フィッシング対策機能が充実しており、ファイアウォール機能や悪意のあるURLのブロックなどもついています。
ノートンと同じく、価格が高めな部類ではありますが、バランスよく性能が良いソフトです
注意点:マカフィートータルプロテクションのMac版については、各研究所からの評価・データがないため、完全に同じ評価としていいかは不明な点。
自動更新の時に、価格が初回価格より大きく跳ね上がるため、気付かないと支払額が大きくなってしまう点。なお、自動更新ではなく、新しく買いなおせばコストを抑えることが可能です。
Macを安全に保つためには、適切なセキュリティソフトの導入が欠かせません。ウイルスやマルウェアからの保護だけでなく、データの暗号化やファイアウォールによる不正アクセスの防止など、総合的なセキュリティ対策が求められます。
各機能をしっかり備えたセキュリティソフトを選ぶことで、安心してインターネットを利用し、重要なデータを保護することができます。どのソフトを選ぶかは、個々のニーズや利用状況に応じて異なりますが、本記事で紹介したポイントを参考に、自分に最適なセキュリティソフトを見つけてください。