皆さんは「オートフォーカス」使ってますか?
オートフォーカスとは読んで字のごとく自動でピント合わせをしてくれる機能です。多くの人はAF機能を使っていると思いますが。
どんなときでも完璧に合わせてくれるわけではありません。カメラや設定次第ではピンボケの原因になります…
今回はAF機能をもっと詳しく理解して、もっと活用していきましょう。
- 一眼レフとミラーレスのAFの違い
- フォーカスモードの意味, 設定の方法
- ピンボケ写真にならないAF設定の例
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目次
AF(オートフォーカス)の種類
カメラによってAFの種類が違う
一眼レフ、ミラーレス、コンデジ、スマートフォン… カメラの種類によって使われているAFの方式が異なります。それぞれに長所・短所があります。
高速でスポーツ向き: 位相差AF(一眼レフはコレ)
カメラ内の専用のAFセンサーを使うAF方式です。読み方は「いそうさエーエフ」。
現在のピントのズレ具合から逆算して、その分レンズを動かしてピントを合わせるという仕組みです。ピントのズレ具合を測るためのセンサーがカメラ内にあります。
ピントのズレ具合を測って、その分レンズを動かすので、AFが一瞬で完了します。「一眼レフはAFに強い」と言われる理由はコレ。
一眼レフでファインダーを使って撮影しているときは位相差AFです。逆に言うと一眼レフでもライブビューなどでは位相差AFは使えません。
精度が甘いという欠点があります。スポーツやスナップ写真の場合は大して問題にはならないのですが、ポートレートやマクロ写真(料理とか物撮り)では注意が必要です。
また、高級な機種はともかく、殆どの機種では画面の中央部分でしか使えないので不便といえば不便です。
- 高速
- バスケットボールやサッカーのような動き回る被写体に強い
- (他の方式に比べて)精度が甘い
- 専用のセンサーが必要なので、一眼レフのような大きなボディでないと採用できない
- 画面全体で使えるわけではない
一眼レフ並に高速: 像面位相差AF(最近のミラーレスの主流)
文字通り、上記の「位相差AF」の技術をイメージセンサー内部に組み込んだものです。読み方は「ぞうめんいそうさエーエフ」。
専用のAFセンサーが必要ないのでその分コンパクトになります。主に最近のミラーレスで使われていまが、一眼レフでも最近のCanonの機種ならライブビュー時で像面位相差AFが使えます。
少し前までは「ミラーレスはAFが弱いんだよな~」なんて言われていましたが、この像面位相差AFでまさに汚名返上です。
位相差AFは画面の中央部分でしか使えませんでしたが、像面位相差AFはそれよりも広い範囲で使えるというメリットもあります。
しかし、暗い場所ではうまく動作しないという欠点もあります。また、AFセンサーをイメージセンサーに組み込んでいる関係で「画質に影響があるのでは?」という意見もあります(殆どの場合実感できないレベルですが)。
- 画面の割と広い範囲でAFを使える
- 一眼レフの位相差AF並に高速
- 動き回る被写体に強い
- (位相差AFと同じく)精度が甘い
- 暗い場所だと使えないこともある
実は一番高精度!?: コントラストAF(少し前のミラーレス)
AFセンサーは使わずにイメージセンサーだけでAFを行う仕組みです。最近は像面位相差AFが普及してきましたがそれ以前は一眼レフ以外のカメラはこの方式でした。
イメージセンサーに写る像を(カメラが)確認しながら、ピントがずれてたらレンズをちょっと動かす、まだズレてたらまたちょっと動かす…ていうのをピントが合うまで繰り返します。
位相差AFがズレの量を計算して一瞬で合わせるのに対して、こっちは地道にレンズをチマチマ動かすので時間がかかります。でも、意外や意外、一番精度が高いのはこの方式です。
(位相差AFはズレの量を計算してその分レンズを動かす、このときにどうしても誤差が生じてしまいます。それに対してコントラストAFは実際にピントが合うまで永遠にピント合わせをするので精度が高い、というわけ)。
一眼レフでも、ライブビュー時はコントラストAFになる機種が多いです。
ピント合わせに時間がかかるのでスポーツには不向きですが、ポートレートや風景のようなシーンでは結構活躍しています。また、位相差AF、像面位相差AFに比べて暗い場所でも使えるという長所があります。
「ピント合わせに時間がかかる」と強調していますが、コレが顕著なのは一眼レフのライブビュー機能を使ったときで、それ以外(ミラーレスやコンデジ)ではそこまで遅いとは思いません。
- 暗い場所に強い
- 画面のほぼ全体でAFを使える
- 遅い
- スポーツのような動き回る被写体に弱い
カメラによって使用できるAFの種類が異なります。一眼レフならファインダー使用時は「位相差AF」、ライブビュー使用時は「像面位相差AF」もしくは「コントラストAF」。ミラーレスは「像面位相差AF」か「コントラストAF」のどちらかです。
機種によっては「像面位相差AF+コントラストAF」で、高速さと正確さの両方を追求している機種もあります。
フォーカスモードの仕組みを知ろう
AFの仕組みの次は「どういう風にピントをあわせるのか」
AF-S(ワンショットAF)
一度ピントを合わせたら、そのまま固定しておくモードです。風景や物撮り、記念写真など動かないものを撮影するときはこの設定にします。ニコンでは「シングルAF」とも呼ばれています。
AF-C(AIサーボAF)
シャッターボタンを半押ししている間、ずっとピントを合わせ続けるモードです。特にスポーツでは被写体がずっと動いているので、この設定にします。ニコンではコンティニュアスAFとも呼ばれています。
AF-A(AIフォーカスAF)
上のAF-SとAF-Cを自動的に切り替えるモードです。
「家族旅行で、記念写真や風景の写真も撮るけど、動き回る子供の写真も撮る。いちいち設定変えるの面倒」という場合に便利かもしれませんが、僕は使ったことがありません。
タッチAF、顔認識AF
ミラーレスの殆どの機種や、最近では一眼レフでもタッチパネルが採用されています。
「タッチAF」は文字通り画面内でピントを合わせたい場所をタッチすればOK。これなら複雑な構図も簡単に撮影できます。
家族写真がメーンなら「顔認識AF」も外せません。カメラが人間の顔を検知すると自動的にそこにピントを合わせてくれます。また、ピントだけでなく露出(写真の明るさ)や肌の色合いまで補正してくれます。
AF測距点とは?多い方がいい?
ミラーレスやライブビューの場合はともかく、一眼レフのファインダーで撮影する場合は画面内のどこでもAFが使えるとは限りません。
一眼レフのファインダーを覗くと、下の画像のように画面内に□が表示されていると思いますが、コレが測距点です。AFポイントなどともいいます。ファインダーで撮影するときはこの□の場所でしかAFを行えません。
今から約30年前、一眼レフにAFが初めて搭載された頃はAF測距点は中央に一つしかありませんでした。しかし、カメラの進歩とともに測距点の数も3個、5個、11個…と増え続け、最近では中~高級機なら30個以上あるのが普通です。
例えば下の画像を見てください。これはNikonのD3400とD500という機種のAF測距点を比較した画像ですが、D3400の11点に比べてD500はなんと153個もあります。しかもD500は画面のほぼ全体に測距点があるので縦横無尽に動く被写体でもAFが追尾できます。
AF測距点が複数ある場合でも、一度に使う測距点は1つだけです(十字キーで選択できる)。しかし、AF測距点がたくさんある機種なら、複数、もしくは全部のAF測距点を使ってオートフォーカスすることも出来ます。
一方で「AF測距点はそんなにたくさんいらない、真ん中に1つあればいい」という人たちもいます。風景写真やポートレートのような動かないものを撮影する場合はじっくり時間をかけて撮影できるためです。
- 高級な機種ほどAF測距点が多い傾向にある
- スポーツ撮影ではAF測距点が多いほうが有利
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設定方法はカメラによって異なるので設定をよく確認しよう
カメラによってフォーカスモードやAF測距点の設定方法はマチマチです。特にミラーレスの場合設定画面の深い部分に項目があったりするので、カメラ初心者の方に説明したり設定したりするときに困ったりします。
手元にあったSONY α6000とCanon EOS Kiss X9i、そして僕のメーンの機種Nikon Dfで設定方法を確認してみたところ、α6000は「MENU」ボタンで開くメニュー画面から、EOS Kiss X9iはQボタンで開くメニュー画面から設定できました。
一方でNikon DfにはAF設定用の専用ボタンがあります。このボタンを押しながらダイヤルを回すと、AFモードやAF測距点を変更できます。似たようなボタンはCanonの上級機にもあります。
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状況に応じてAF(オートフォーカス)モードを選ぼう!
さて、ここまでいろいろなAFの種類・方式を説明してきました。簡単にまとめると
AFの仕組み
- 位相差AF: 高速でスポーツ向き。一眼レフ
- 像面位相差AF: ミラーレスで使われる
- コントラストAF: 正確
フォーカスモード
- AF-S: 一度ピントを合わせたらそのまま固定
- AF-C: ずっとピントを合わせ続ける。スポーツで使う
- AF-A: AF-SとAF-Cを自動で切り替え
AF測距点
- 高級な機種ほど多い
- スポーツは測距点が多いほど有利
ここからは具体的なシーンを挙げてAFのおすすめ設定を考えてみます.
「インスタ映え」の王道? 料理写真の場合
ピント合わせが正確な「コントラストAF」や自由にピントを合わせられる「像面位相差AF」が有利、つまりミラーレスの得意分野ということになります。
一眼レフの「位相差AF」でもピントの正確さはそれほど大きな問題ではありませんが、AF測距点の少ない機種だと面倒かもしれません。そんなときはライブビュー機能を使いましょう(ライブビューにすると一眼レフでも像面位相差orコントラストAFになります)。
AFモードは「AF-S(ワンショットAF)」です。
小学校の運動会や高校の体育大会の場合
「小学校のイベントを機に一眼レフやミラーレスを買った」という方も多いと思います。あるいは、高校の写真部の場合体育高いなどのイベントでは撮影係を任されると思います。
そんなときは動体に強い「位相差AF」や、ミラーレスの場合は「像面位相差AF」が有利。「コントラストAF」では追いつかずにピンボケ写真しか撮れなかった」なんてことに…
AFモードは「AF-C」がおすすめ、また、AF測距点が多い機種なら被写体がAF測距点から外れても他の測距点でカバーしてくれるのでピンぼけになりずらいという特徴もあります。
ついつい写真を任されがち? 学園祭のステージ写真や小学校の学芸会
学園祭のステージ企画や小学校の学芸会、そこまで動きが激しくないので「位相差AF」でも「コントラストAF」でも問題ありません。
AFモードは、「AF-A(AIフォーカスAF)」があればそれがいいと思います。なければ「AF-C(AIサーボAF)」で。
ただし暗い場所だとAFが合いにくくてずっとピント合わせ中になったり、ピントが明後日の方向になったりすることがあります。そんなときは「AF-S」にしときましょう。
また、顔認識AFがある機種ならそれを使うのもベターです。
まとめ:AF(オートフォーカス)の仕組みを知って、ピンボケしない写真を撮影しよう
写真って色とか明るさとかも大事だと思いますが、ピントが合ってない写真ほど醜い写真はありません。上に挙げた「学園祭のステージ企画」や「小学校の運動会」などの場合、明るさや色味はあとから補正できますが、ピンぼけは(今の技術では)あとから直すことはできません。
AFの仕組みや種類を理解してきれいな写真が撮れるようがんばりましょう!
- カメラによって「位相差AF」「像面位相差AF」「コントラストAF」があり、それぞれ得手不得手がある
- フォーカスモードには「AF-S(一度合わせたらそのまま)」と「AF-C(ずっと合わせ続ける)」、タッチAFや顔認識AFなどがある
- AF測距点が多いとスポーツの撮影に便利
- 状況に応じてAFの設定を使い分ける必要がある
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