今回はNAS(サーバ)のデータ復旧についてプロに詳しく教えてもらいました。
NASといえばBUFFALO(バッファロー) のリンクステーションなどで馴染みのある方も多いかと思いますが、そんなBuffalo社のデータ復旧を担うアドバンスデザイン社にお話を聞いてみました。
- そもそもNASってどんなもの?
- NASのデータトラブルが起こったときはどうすればいい?
- 自分でもNASのデータ復旧はできる?
など気になるポイントを詳しく聞いてみました。
前回は現場でのデータ復旧(オンサイト)について聞いたのでこちらの記事も参照してみてください。
関連記事:【プロに聞く】ニーズ高まる法人向けのデータ復旧! 現場(オンサイト)で解決する出張型サービスについて解説してもらった
この記事を読んで分かること
- NAS(サーバ)の仕組みや構造
- NASのトラブルの原因
- 問題が起こったときの対処方法
- NASのデータ復旧は自分でもできる?
- データ復旧の手順や流れ
目次
そもそもNAS(サーバ)ってなに?
いでっち
ー当社のホームページでNASについての記載があるので見てみましょう。
“NASとは、Network Attached Storageを省略した呼び方で、TCP/IPプロトコルで構成されたネットワークに直接接続して使われる補助記憶装置(ファイルサーバ)を指す。一般家庭のWi-Fi(無線LAN)の普及と共に一般化したために、“LAN接続HDD”などの呼び方で市場に登場したーーーー
HDD(ハードディスク)1台が搭載されたNASの場合、見た目はもう外付けHDDとほとんど変わりません。
違いは上記の様にネットワークに接続されているファイルサーバということで、複数の人が異なる場所からデータのやり取りを簡単に行うことができる、という点です。
いでっち
ーそれでは構造についても見てみましょう。
一般的に“LAN接続の外付けHDD”と呼ばれる事の多いNASは、本来の呼び方は“Network Attached Storage”なので、当然内部に“CPU”や“メインボード”が入っていて、HDDにも“OS”がインストールされているパソコンに近い製品です。CPUやメイン(マザー)ボードは、NASの用途がファイルサーバに限定されているので、パソコンのような高性能は必要でないため、比較的小さなCPUと機能に特化したコンパクトなメインボードが使用されてます。
OSは、Linux系のOSが中心に使われているが、HDDは、OSがインストールされているシステムファイル専用のパーティーションと、ファイルサーバとしてユーザデータを保存する十分に記録容量を持つパーティーションを併せて持つことの出来る大型のものを搭載し、HDDの数は、家庭用の製品でも1台とは限らず、2台、4台と複数台数搭載する記憶容量の大きなものまで存在し、複数台のHDDを搭載している場合は、高速化を目的とした“RAID0(ストライピング)”、データのバックアップ機能を持たせるための“RAID1(ミラーリング)”や、その“RAID0”と“RAID1”を組み合わせて両方の特徴を生かそうとする、“RAID01”や“RAID10”、冗長化を目的とした“RAID5”、“RAID6”、全てのHDDの容量を合計した1台の巨大論理HDDとして動作させる“SPAN”などを、用途に合わせてユーザーが選択・設定が出来るようになっているものが多い。
引用元:NASの構造・データ復旧
正直、これを読んでも何が書かれているか分からないと思います。…(笑) 分かりやすく要点をまとめてNASの構造を説明すると以下になります。
- 外付けと違い専用のOSが搭載されていてパソコンに近い
- 複数のHDDをつなぐこともでき高速化や耐障害性に優れた製品である(RAID構成)
RAID構成の特長の1つは、HDDを複数搭載しつなぎ合わせることで、データ保存も複数のHDDに分けて行える点です。それによって一つのHDDが故障してしまったとしても、他のHDDが補完的に動作してくれるので、データの耐障害性が高いといえます。
一つのハードディスクでデータの記録・保管をしていると、もしハードディスクが故障してしまった場合に機能しなくなってしまいます。ところが複数台のHDDでその動作を行っている場合には、仮に一台のHDDに支障が出てしまったとしても、残りのHDDが正常に動作することで一時的にでも動き続けてくれるというのがRAIDの仕組みの1つというわけです。その他にはスピードを向上させるというRAIDの構成方法もあります。
いでっち
ーそうです。LinkStationは外付けHDDとほぼ外観は変わらないですよね。
これまでNASはDELL 、EMC、HP、IBM、NetApp、Netgearといったメーカーが製造していましたが、比較的高額な製品ばかりだったので、大企業でしか使用できませんでした。
ところがバッファロー社のTeraStationは、4台のHDDを搭載しているのにコンパクトで価格も安く、一般的な企業や家庭で広く使用されることとなり劇的に普及しました。これはNASの大きな転換点であったと言えると思います。
NAS(サーバ)の障害で多い症状はどういったもの?
いでっち
ー以下のような症状でご相談いただくケースが多いですね。
- 誤操作による初期化
- 突然ネットワーク上にNAS(サーバ)が表示されなくなった
- 停電等による突然の電源断後、アクセスできなくなった
- 不具合が確認されたHDDを交換し、RAIDの再構成(リビルド)を行っている最中に、さらに別のHDDが故障してしまった
NAS(サーバ)は企業内でファイルサーバとして社内または部署ごとに共有されていることが多いので、結果的にご相談の多くは法人のお客様であるということもNAS(サーバ)のデータ復旧における特徴と言えます。
NAS(サーバ)を自分で復旧するのは危険なの?
いでっち
ーお客様自身でデータ復旧ソフトを用いることでデータ復旧ができるケースももちろんあります。
ただ、NAS(サーバ)のデータ復旧の場合、ネットワークやシステム管理に関する知識をある程度もっている必要があります。
例えば、先のLinkStationを例に挙げてみると、障害の発生したHDDからデータを取りだそうとして、まずHDD本体を筐体から取り出し、HDD本体を直接USB接続でWindowsPCにつないでみても、LinkStationで使用されているOSがWindowsOSではないため、データにアクセスすることができません。
また、例えば複数のHDDでRAID5という構成がなされたNASであれば、仮に1台のHDDに障害が発生したとしてもそのまま縮退稼働できるため、障害HDDを放置したまま、使用し続けてしまうケースが多々あります。
この場合、さらにもう1台のHDDに障害が発生してしまうと、いよいよサーバへのアクセスが途絶えてしまいますので、少なくとも1台のHDDに障害が発生したと発覚した時点で速やかにディスクの交換およびリビルド作業を実施する必要があります。
しかし、結局実際には多くのユーザーが、このような障害発生のサインに気付くのが遅れる、あるいはまったく気付くことなく、RAID崩壊が引き起こされてしまうわけですね。さらに、慌ててあれこれとお客様自身で復旧を試みた結果、物理的にも論理的にも障害を深刻化させてしまう…ということが起こりえます。
ですので、異変に気付いたときにはできるだけ早い対処が必要です。まずはメーカーや製品導入に関わったSIerに問い合せて対処法を探す、また当社のようなデータ復旧業者に相談してみることが重要です。あれこれとご自身で対処する前にメーカー等に相談すべきだった…と後悔する前に、できるだけ触らずに相談する!ですね。
いでっち
ーそうですね、心理的には今すぐ、自分でなんとかしたい!というのは十分に理解できますが、万が一にもデータを永久に失ってしまうかもしれない、ということを考えると、できるだけリスクを冒すべきではないですね。
もしこの記事を読んでいる方で、すでに色々対処をしてみたけどうまくいかない…悪化してしまったかもしれない…という方がいらっしゃったとしてもまだ諦める必要はありません。例えば、HDDの内部に物理的な障害が発生している場合には、ソフトであれこれ対処しても意味がないんです。本来最初に、HDDが適切に動くための物理的な修理が必要なんですね。お客様自身であれこれとトライをされる危険性がまさにここにあります。
また、HDDに物理的な障害はなく、誤操作によりデータが消失してしまった場合などでも油断は禁物で、ご自身でリカバリーの方法を模索しているうちに、復旧したいデータが書き換わってしまう(上書き損傷)場合もあります。まずは何が起きているのかを適切に見極めるということがNASに限らずデータ復旧には重要です。
今からでも十分に間に合う可能性があるので、やはりまずは相談する!ということになりますね。
NAS(サーバ)のデータ復旧はどのように行われているのか
いでっち
ーまずは、さきほどお話ししましたように、何が起きているのかを「適切に」見極める必要があります。データ復旧で最重要なのがこの点で、障害メディア、今回でいえばNAS(サーバ)に搭載されているHDDの保全作業です。
いでっち
ー保全作業とは、障害メディア、つまり、NAS(サーバ)に搭載されているHDDやSSDの“元の状態を保つ“ために行われる作業を指します。
お客様のHDDやSSD(原本ドライブ)は世界で唯一無二のものです。ですので、まずは原本ドライブの状態をこれ以上悪化させないように処置を施し、データ復旧のための下準備を行います。具体的には熟練のエンジニアが目視や音等で障害状況を判断したり、クローン作業といって、原本ドライブに記録されているデータのすべてを別のHDDやサーバに複製したりします。データ復旧の作業は、作成されたクローンHDDを用いて行われます。作業中にメディアに不具合が発生したとしても、あくまで複製品ですから原本ドライブは傷つかないということですね。
ただHDD内部に物理的な障害が発生してしまったことで、HDDが正常に稼働しないようなケースも多々あります。HDDから異音がする、であったり、NASがネットワークから見られない、であったりさまざまな症状として現れます。ここでは詳細は省きますが、こういった場合にはまずはHDD内部の部品を取り換えるなどして、一時的にでも正常にHDDが動作するように物理的な処置を行ったあと、クローンを作成していきます。
いでっち
ー そうです、保全作業は絶対必要な工程なので、業者選定の際にも判断材料としてお使いいただきたいですね。
さて、今回はNAS(サーバ)のデータ復旧作業についてなので、クローンを作成してからがいよいよ本番です。
通常NASやサーバでは、2台以上のHDDを使用してRAIDを構成されるケースが多いのですが、1本1本のHDDを適切につないで、1つのストレージ(データ記憶媒体)として組み上げるような作業が必要になります。そうして初めてNASやサーバに記録されているデータを人間がちゃんと開くことのできるファイルとして復旧する体制が整うわけです。
RAID構築、解析を行ってファイル化を行う。どういったフォルダ構成でどこにどういったファイルが入っているか、ということがこの段階で判明するので、お客様に診断結果をお伝えし、復旧を行うか行わないか、お見積りと一緒にご判断いただきます。ご依頼をいただいた後、データ復旧(ファイル化)を行います。
NASのデータ復旧の手順まとめ
- 保全作業(状態確認、クローン作成)
- RAIDの再構成
- 解析作業
- 壊れたデータファイルの復旧
最初の診断やデータ復旧失敗時は無料なの?
いでっち
NASのデータ復旧の流れ
- 診断お申込み(守秘義務契約など)
- 障害機器のチェックと診断作業
- お客様に診断結果を通知
- ご注文 or キャンセル(無料)
- データ復旧作業
- お客様に復旧データをご納品
ーまず診断申込みをしていただきます。このメディアの所有権はお客様にありますよ、とか当社の社員は全員守秘義務契約を会社と行っているので安心してください。といったようなことが規約に書いてありますので、規約を読んで今回NASやサーバに何が起きてしまったのかというヒアリング項目をご入力(ご記入)いただきます。
次に機器を川崎本社に送っていただくか、各支店・あるいは本社にお持ち込みいただき、診断を行います。この診断は十数年前には2万円をお支払いいただき行っていた診断で、現在は無料で1件1件しっかりとした診断を行っています。
診断結果を受けてご注文、もしくはキャンセルとなります。ここで条件等が合わずにキャンセルした場合でもキャンセル費用はかかりませんのでご安心ください。ご注文いただくと即復旧を開始します。復旧したデータはBUFFALO(バッファロー)社の外付けHDDやUSBメモリなど、復旧したデータの容量に合わせたメディアに入れて、納品させていただきます。ちなみにバッファローは当社と同グループ(メルコホールディングス)です。
いでっち
ーご注文後に実際にデータ復旧にトライしてみても、中には復旧できないケースがあり、ご注文後であってもデータが復旧できなければ一切費用はいただきません。基本的には、取れうるすべてのデータを対象として復旧作業を行い、重点的にお客様の必要なデータを少しでも多く復旧するよう努めております。復旧できなくても発生した作業自体で高額な費用を請求する業者も存在するため注意が必要です。
ご注文後に費用がかかるケースとしては、すでに他社の診断でHDD等を開封している場合には、不成功であっても費用が掛かりますのでご注意ください。
気になるNAS(サーバ)のデータ復旧の費用感は?
いでっち
ーもちろん電話で症状をお伝えいただければ、ある程度費用感をお伝えすることができる場合もございます。ただ、これは当社に限らず、データ復旧のお見積りを工数(作業量・難易度)から算出しているすべての業者に当てはまりますが、今お客様に起きている「症状」だけでは「原因」を特定できないという理由から、実際にNASやサーバを送っていただく必要があります。
例えば、「パソコンが起動しなくなった」という症状があるとします。その場合に考えられる「原因」は、①パソコン本体側の問題(HDD本体には異状なし)、②HDDの内部が故障、③HDDの基盤(HDDの外側)の問題などが考えられますが、それ以上はその時点で特定できないのです。
これらの①~③という原因ごとにデータを復旧する工数(費用)はまったく異なります。結果、電話ではある程度の幅を持たせた費用感でしかご回答できないということになります。なお、障害HDDの容量からお見積りを算出している場合には、障害原因と費用が連動していないので電話で費用感を確定できる可能性はあります。
NAS (サーバ) のデータ復旧の診断ケース
いでっち
ーそれでは事例ごとにデータ復旧業界の相場感を見てみましょう。
症状①:NASの誤操作による初期化(搭載HDD1台)
- 原因:削除ケース(論理中度障害)
- 相場感:10万円前後
誤って削除や初期化をしてしまった場合には、元々あったファイルが破損してしまい復旧できない可能性もあります。ここでは中度としましたが、状況によっては重度~不可能ということもあり得るため、ただ単に削除してしまった場合でも実は障害が重かった…ということはあり得ます。
症状②:突然ネットワーク上にNAS(サーバ)が表示されなくなった(搭載HDD1台)
- 原因①:軽度物理障害(軽度の不良セクタを原因としたリードエラー)
- 相場感:15万円前後
- 原因②:HDDのヘッド交換が必要なヘッド障害(重度物理障害)
- 相場感:30万円以上
ここでは同じ症状で2つの原因を挙げてみました。どちらかは診断してみて初めてわかるということです。
1つはHDDのプラッタと呼ばれているデータが書かれる領域に発生した軽度の物理障害です。もう1つはHDD内部でプラッタにデータを読み書きするヘッドと呼ばれている部分の故障で、この場合HDDを開封して、別のHDDからヘッドを移植して正常に動くようにする必要があります。
症状③:TeraStationのリビルド中に機器が故障してしまった(搭載HDD4台)
- 原因:リビルド中に2台目のHDDに軽度のセクタ不良が発生したことによるRAID構成の崩壊(軽度物理障害)
- 相場感:30万円以上
RAID5という構成で、その場合HDD1台までは故障しても動き続けるのですが、1台が故障したことでリビルドをかけて直しているときに2台目のHDDもおかしくなる、というケースはよくあります。今回はもう1台のHDDに軽度の物理障害が発生したことでTeraStationが止まってしまったケースですね。2台目のHDDのクローンを作成して、RAIDを組み直し解析・データ化することで復旧できた例です。ここでは軽度物理障害としましたが、HDDが2台とも内部の物理障害により故障してしまった場合には、さらに高額になります。
やはりNASやサーバの場合、HDDの数が増えることにより、RAIDが絡んで来るため、物理的な処置の有無にかかわらず解析が必要になり、金額が上がるケースは多いと言えます。また、複数のHDDを搭載しているサーバの場合、仮想化システムを採用しているケースもあり、その場合には解析に要する工数はさらに増える可能性があります。
一般的に、より複雑なシステム・構成であれば、やはり復旧の難易度も高くなりやすく、時間と費用がかかってしまうと考えられます。
当社では、お客様からのご要望で作業内容が変わることがない限り、お見積りが出た後に金額が上がるということはないのでご安心ください。
いでっち
ーはい。オンサイト(出張)でのデータ復旧をご依頼される場合には、基本的にはセキュリティ面を理由に外部にNASやサーバを持ち出すことができない、あるいは、機器を止めることができない、という2通りが考えられます。
当社の場合、お客様先でデータ復旧を行う場合には、専属のエンジニアがヒアリングをさせていただき、お客様の状況やご要望に応じた作業内容のご提案をしています。費用的にはオンサイトの場合作業が増えるため、通常案件より金額が上がるケースが大半ですが、その分、より詳細なやり取りを「現場」でできるためご安心いただけますね。
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NASやサーバの復旧でやりがちな間違いとは?データ復旧業者を複数利用するリスクは?
いでっち
ー最初に、 NASやサーバでユーザーがよくやってしまう間違いをいくつかご紹介したいと思います。
①NAS本体からフォーマット要求が出てそのままフォーマットしてしまう
これはNASやサーバに限らず言えることですが、フォーマット要求があっても必ずキャンセルする(フォーマットしない)ようにしてください。安易にフォーマットしてしまうと、データ復旧が困難となる可能性があります。
②違和感を覚えつつも今見えているデータだけでも移してしまおう!とコピーをしてしまう
「違和感」というのは非常に重要です。データ復旧の必要性は突然やってくるのですが、実はちょっとした違和感をユーザーが持たれるケースは多く、このサインを見逃して大量のデータをコピーする等HDDに負担のかかる作業を実行してしまったがために故障を招いてしまう可能性があります。
③障害の原因がわかっていない段階でデータ復旧ソフトを使用してしまう
先にお話ししたようにデータが見られない原因がHDD内部の故障に起因している場合には、データ復旧ソフトを使用してもデータを取りだすことができません。内部の故障を直さないと機器が動かないからです。復旧ソフトの使用により悪化してしまう可能性があります。特にHDDから異音がしている場合には使用しないようにしましょう。
④NASやサーバから抜き出したHDDをUSB経由で接続して、自分で診断する
データ復旧業者は機器の障害を悪化させないように専用の機器を使っています。ご自身でNASからHDDを抜き出してUSB接続すると、仮にHDDのプラッタ部分(データが書かれている記録面)に不良があった場合、さらに状態が悪化してしまう可能性があります。
⑤HDD本体は絶対開封してはいけない
中には自分でHDDを開封されて、結局復旧できなかったとお持ち込みされるお客様がいらっしゃいます。もうそうなってしまうと、こちらでは手の施しようがない、といったことになりかねないので絶対に自分でHDDを開封してはいけません。やはりNASやサーバの場合、そのほかのメディアと比較してより複雑な分、ご自身で対処するリスクは非常に高いと言えます。
また、企業で使われることも多く、データを喪失した際の脅威も個人ユーザーの方よりも大きいと考えられるため、慎重にお考えいただく必要があります。途中でもお話ししましたが、やはりあれこれと対処をされる前に、まずはメーカーや導入に関わったSIer(販売店)、あるいは当社のようなデータ復旧業者に相談されるのが望ましいです。
そうしないと、医療で例えると、重篤な状態の人に対して誰にも相談せずに対処をしてしまうようなものです。
また、Web上でも多く見かける表現で「データ復旧はワンチャンス」という言葉があります。チャンスは一度、最初の1社目が非常に重要という意味合いで使われるのですが、そういう側面は実際にあります。結局のところ障害に対して最適なアプローチでリスクを限りなく少なくするというのが正解なので、1社2社とNASやサーバが渡るたびに状態が悪化するリスクがあるわけです。
これは裏を返すと、的確にアプローチできないデータ復旧業者が存在していることも意味しています。
データ復旧業界にとって大変大きな問題なのですが、一部の業者では適切に処置せずに状態を悪化させて返却したり、復旧できなかったにも関わらず説明不足のまま費用を請求したりする心無い業者がいます。そういった一部の悪質な業者からユーザーを守る目的で設立されたのが、日本データ復旧協会(DRAJ)です。当社は協会の設立時のメンバーで常任理事企業でもあります。協会会長の本田正氏は当社の創業者です(2020年12月時点)。この辺りについてはまた別の機会にお話ししたいと思います。
今現在、NASやサーバにトラブルを抱えていてこの記事をお読みの方がいらっしゃれば、ひとまず作業を止めて当社までご連絡いただきたいと思います。まだ間に合う可能性は十分にあります。
NASサーバのデータ復旧について 編集後記まとめ
一般的には馴染みがないNASサーバのデータ復旧について今日はお話をうかがってみました。NASはネットワーク化することで複数人でのデータの共有を可能とし、また、複数HDDをつなぐことでデータの保全性を高め、耐久性を高めた製品なので、法人で使用されることが多いです。基本的にはデータのバックアップを常に行っているのがNASの強みですが、やはり突然トラブルがおきてサーバにアクセスできなくなるということもあることが分かりました。
NASサーバのデータ復旧をするときに大切なのは、まずはサーバに搭載されているHDDそのもののクローンを作成し、唯一無二のデータ本体は大切に保管すると言う点です。これによって永久にデータが失われてしまうという可能性をなくしますが、原本ドライブに記録されているデータのすべてを別のHDDやサーバに複製するクローン作業は難しく、やはりデータ復旧のプロにしかできない作業です。
またNASサーバでは、2台以上のHDDを使用してRAIDを構成されるケースが多いのですが、1本1本のHDDを適切につないで、1つのストレージ(データ記憶媒体)として組み上げるような作業が必要なため、この点も素人では難しく、かえって症状を悪化させてしまうケースというのも少なく有りません。RAID構築、解析を行ってファイル化を行い、どういったフォルダ構成でどこにどういったファイルが入っているかということを判断していくデータ復旧作業はとても難しいことがわかりました。
御社の大切なデータをしっかり復旧できるのはもちろんのこと、コストや時間、セキュリティ面も含めて、一番安心できるデータ復旧会社を選びましょう!
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