セキュリティソフトのマルウェア検出率や速度などを評価する「第三者評価機関」。自身では判断しづらいセキュリティソフトの性能を発信してくれるため、セキュリティソフト選びをする際に活躍します。
しかし、セキュリティソフトサービスの公式HPなどを見ていると、さまざまな第三者評価機関の名称が出てくるため「評価機関ごとに違いはあるの?」と気になる人は多いのではないでしょうか。また、第三者評価機関で具体的にどんな性能をチェックしているのかを把握している人は少ないはず。
そこでこの記事では、セキュリティソフトの評価を行う第三者評価機関について解説しました。4つの評価機関の特徴を紹介しているので、第三者評価機関について詳しく知りたい人は参考にしてみてくださいね。
セキュリティソフトの第三者評価機関とは?評価から分かること
セキュリティソフトの第三者評価機関とは、中立な立場からさまざまなセキュリティソフトの性能や有効性をテスト・評価する機関です。機関によって評価方法は異なりますが、セキュリティソフトを使用する一般ユーザーでは確認しづらいウイルス検出率・誤検知率をはじめ、システム速度やパフォーマンスに与える影響などを細かく分析してくれます。
定期的に評価を行っているため、各セキュリティソフトの現状の性能をチェックできるのが特徴。点数やランキングを公開している機関もあり、種類が膨大なセキュリティソフトから、自分のニーズに合ったソフトウェアを見つける目安にできますよ。
主な評価ポイント | 内容 |
ウイルス検出率 | セキュリティソフトが既知のウイルス・マルウェアをどれだけ効果的に検出・対処できるかを評価する |
誤検知率 | 安全なファイル・プログラムを誤ってウイルスとして検知してしまう頻度に関する評価を行う |
パフォーマンス | セキュリティソフトを導入することでシステム速度・パフォーマンスに与える影響の程度を評価する(スキャン速度・メモリ使用量など) |
ユーザビリティ | アプリの設計・設定から、ソフトウェアの使いやすさや初心者でも使いやすいかなどを評価する |
実地試験(リアルワールドテスト) | フィッシング攻撃・エクスプロイトなど、実際の環境で攻撃や脅威に対する防御性能を評価する |
4つの有名なセキュリティ第三者評価機関を紹介
セキュリティソフトの評価機関の中から、4つの有名機関をご紹介します。
AV-TEST
ドイツに拠点を置くITセキュリティ研究機関のAV-TESTは、セキュリティソフト自体の性能やソリューションの評価・分析を専門に行っています。評価項目は主に保護性能・パフォーマンス・使いやすさの3つで、それぞれの項目でさらに詳細な評価結果も公開しています。
AV-TESTでは、特に優秀な性能のソフトには承認マークが付与されるため、製品を選ぶ際の指標にしやすいです。評価結果が表やグラフで公開されているため、ソフトウェアの比較がしやすくサイトの視認性も良好でした。
評価は、Windows向けソフトは2月から2ヶ月ごとに年6回、MacOS向けは3月から3ヶ月ごとの年4回、アンドロイド向けは1月から2ヶ月ごとの年6回の頻度で行われます。ホームユーザー向けソフトだけでなく、ビジネスユーザー向けやスマートホーム、スマートウォッチなどの評価結果も公開していますよ。
AV-Comparatives
2003年設立のAV-Comparativesは、オーストラリアに拠点を置き、AV-TESTに並ぶ知名度をもつ機関です。マルウェア保護・パフォーマンス・高度な脅威保護・特別テストといった評価に加え、細かな項目に関するテストが充実しているのが特徴。
正確な診断を行うために、日常生活に基づいた「リアルワールド環境」でのテストも行っています。
アンチフィッシング認証テスト・スパム対策・ペアレンタルコントロール認証テストなど、特定の項目で優秀なソフトウェアを確認できるので、必要な性能が優秀なソフトウェアを見つけやすいです。
AV-Comparatives認証や年間アワードといった賞の授与もあり、製品の信頼性を示す指標になっています。
Virus Bulletin
1989年設立で歴史のあるVirus Bulletinは、元々コンピューターユーザー向けの専門誌を刊行していた企業です。現在は、自社の専門知識をもとに、セキュリティソフトのテスト・評価も行っています。
Virus Bulletinの認証プログラムにおいて、ウイルスの全てを検出できる&誤検出がない製品に送られる「VB100認定」は、信頼性や有効性の証として大きな指標となっています。公式サイトで認証を受けたセキュリティソフト製品を一覧でチェックできるのも嬉しいポイント。
世界中のサイバーセキュリティ専門家が集まって最新の脅威と対策について議論する、「VBカンファレンス」を開催しているのもVirus Bulletinの特徴です。公式サイトでは、テストの方法も詳しく解説されているので、どのような評価が行われているのか知りたい方はチェックしてみてください。
SE Labs
2015年設立のSE Labsはイギリスに拠点を置く評価期間で、消費者向けの製品に関するダウンロード可能なレポートを、年に4回程度公開しています。レポートでは、各製品の評価スコアに加え、どのような攻撃シナリオでテストが行われたかや、製品に関する詳細な分析も確認可能です。
より多角的な評価を確認できるため、最新のセキュリティソフトや脅威に関して詳しく知りたい方は要チェック。
アンチウイルス性能だけでなく、クラウドセキュリティやネットワーク防御といった多岐にわたる製品の評価も行っています。
セキュリティソフト評価機関のまとめ
- セキュリティソフトの評価機関は製品選びに役立つ中立な機関
- 有名な4つの評価機関ではそれぞれの評価基準で最新の性能評価を行っている
今回は、セキュリティソフト選びで必ずといっていいほど目にする「評価機関」についてまとめました。セキュリティソフトの第三者評価機関は、製品選びに大きく役立つテスト結果を公開してくれており、さまざまな製品を比較して選べます。
今回紹介した4つの評価機関は、どのサイトも日本語に対応していないため、ブラウザの翻訳機能などを活用してチェックしてみてください。