Picky’s編集部内のVPNレビューチームでは、ユーザーにおすすめなVPNを見つけるために、数十のVPNをテストして評価しています。この記事では、VPNサービスにおいて重要な項目と、テストの内容について解説しています。
VPNを利用するケースですが、おそらく一般的なユーザーの多くは日本から海外の動画を見てみたい・海外のサーバーのゲームをしたいといったものや、海外旅行・出張の際に日本のWebコンテンツにアクセスしたいということではないでしょうか。
ただVPNを利用するユーザーの中には、VPN本来の価値である、匿名性やプライバシー保護の面を重視する人も多いと思いますので、単にストリーミングのブロックを解除出来るか・速度がはやいかといった観点からだけでなく、プライバシー保護の観点から優れたサービスであるか、といった内容も重要な判断基準に含めています。
記事の信頼性について
具体的なテストの話の前に、Picky’sが記事を書く際に、どのように作成しているかを説明したいと思います。
Picky’sのおすすめ記事・個別のレビュー記事には「【PR】本ページはアフィリエイト広告による収益を得ています。」と記載してます。記事についているGoogle広告や、リンクから移動した先のECサイトからのアフィリエイト手数料、Picky’sが製品をレビューした企業またはその他の団体から手数料を得る可能性があることを意味しています。
ただしPicky’sにおいては、アフリエイト収益に関する処理をする担当者と記事を作成する編集部は分離されており、別々のスタッフによって管理されてます。メディアポリシーとしても、特定の報酬によってランキングの順位を入れ替えることや、レビュー記事におけるテスト結果を変えることは対応していません。※ライターの書いた内容が間違っている場合の訂正や、ニュアンスや表記の修正などは勿論受け付けていますが。
VPNに関するテストを行いレビュー記事を作る際も、上記のポリシー通り純粋なテスト結果に基づいた内容となっています。
VPNの評価内容
VPNを評価する際に重要な項目として、プライバシー・速度・機能・料金・カスタマーサポート・アプリやツールが初心者でも使いやすいかという形に分けています。評価内容については、Picky’sのVPNレビューチームが実際にテストして分かった結果だけでなく、海外の専門家のレビューや研究内容なども考慮しています。
特に2024年の評価内容については、海外の大手メディアであるCNETにVPN専門家として協力しているAttila Tomaschek氏とMoe Long氏、Future社の運営するテクノロジーメディアであるTom’s GuideやtechradarにVPN編集者として関わっているMo Harber-Lamond氏のコメントなども参考にしています。
なおPicky’sの特徴として、なるべく初心者向けにおすすめ出来るものを探しているため、VPNについても初心者でも使いやすいサービスは評価が高くなります。
テスト内容に関する記事について
個別のサービスを詳しく知るために、それぞれのサービスごとのレビュー記事を作成しています。各社のサービスを個別にレビューする記事の中では、テスト結果を載せるだけでなく、どういう特徴のあるサービスか分かりやすい様に、そのVPNについて知っておくべきことに重点が置かれています。
また、VPNを使う人のニーズは複数あり人によって異なるため、それぞれにおすすめ出来るサービスも異なっています。そのためおすすめサービスを紹介するまとめ記事においては、テストの数値を基にした単純なランキング形式ではなく、それぞれのニーズに合わせたおすすめのVPNを紹介する形式をとっています。
プライバシー保護について
まずVPNを使う最大のポイントとしてプライバシー保護の面があげられます。
VPNは暗号化されたトラフィックを別の場所に送りますが、その過程でIPアドレスを隠し、ファイアウォールを通してネットワーク上でブロックされたサイトにアクセスする形で、地域的に制限されたコンテンツのブロックを解除することができます。
VPNプロトコルの中でもWireGuardとOpenVPNが最も優れており、IKEv2は適切な代替手段、L2TP/IPsecはニッチな場合にのみ役に立つ、PPTPは古くて安全でないためなるべく避けるべきと考えています。
その他にチェックすべき点として、すべてのプラットフォームやデバイス、特にスマホアプリが同じ機能を持っていないことがあります。 「このVPNにはキルスイッチがあります。※一部のデバイスのみ」などの表記しかない場合で、どのデバイスやツールにあるかが分からない場合は減点評価しています。
また多くのVPNはセキュリティに関する様々な機能を提供しており、広告やマルウェアのブロッカー、マルチホップサーバー、Torを介したトンネリング、スプリットトンネリングなど様々です。これらのサービスはプライバシー保護ではなくセキュリティ強化機能がメインの場合も多々ありますので、あくまでプライバシー保護に関する内容を重点的に評価するようにしています。
プライバシーツールはセキュリティツールとは異なります。 2つの仕組みは重複するものもありますが、プライバシー ツールは、デバイスを追跡して識別する取り組みからデバイスを保護するか、識別可能な情報を積極的に削除します。セキュリティ ツールは、デバイスやファイルに損害を与える悪意のあるソフトウェア又はハードウェアの使用を特定し、削除し、(理想的には) 防止します。
分かりにくい点として、VPNサービスを提供している会社はセキュリティソフトも販売していたり、VPNのオプションとしてセキュリティ機能を付けれる場合が多いです。VPNはあくまでプライバシー保護の点がメインであり、セキュリティ強化に関しては別のセキュリティソフトを入れた方が良い場合も多いです。
信頼できるプロバイダーは透明性があるだけでなく、その透明性を証明するための根拠についてユーザーが分かりやすい様に、しっかりとした構造のWebサイトを作っています。そのため、主張を証明するデータの具体的な記載ページが無い、Topページと決済用のページしかないようなサイト構造のプロバイダーは減点となります。
なおプライバシーに関する情報の多くは公式が発表しているデータがもとになるため、実際に評価するのは難しい時があります。その場合は、第三者による監査がしっかりしているかなどが重要な判断基準になります。
ノーログポリシーについて
VPNサービスに関しては、ノーログポリシーである必要があります。ノーログポリシーとは、企業がユーザーのログを保管していない・保管できる仕組みがないことを表明している状態です。
ただノーログを謳うことと、実際に企業がログを持っていないことは別の話です。悪質な企業の場合、ユーザーのデータを収集して販売しているケースもあります。また、過去のケースとしてはノーログポリシーを掲げていた企業が、FBIや国家からの捜査協力に対してログを提供したという事例もありました。(参考:PureVPN Logs Helped FBI Net Alleged Cyberstalker)
そのため、本当にノーログなのか証明するために、しっかりしたVPNサービスは第三者の監査を定期的に受け、その内容を公表しています。
監査について
VPN業界ではプライバシー・セキュリティに関する監査も重要です。海外ではPricewaterhouseCoopersやDeloitteといった外部企業を監査を招いたうえで、レポート結果を公表している会社も多くあります。
ただこの監査もいくつかパターンがあり、アプリへのアクセスのみを提供しているような軽いものから、ソースコードを含めほぼすべてに対する完全なアクセスを許可して監査をしてもらうケースまで様々です。勿論後者の方がより信頼性の高い結果が出ますので、しっかりとしたレポートが公表されます。
参考例:NordVPNの定期監査報告 (NordVPN verifies its no-logs claim for the fourth time )
上記のURLでは監査を受けたという内容のみになりますが、ログインした状態であればノーログポリシーに関するデロイトの監査報告書や、NordVPNサーバーとインフラストラクチャのセキュリティに関するCure53による評価といったレポートの詳細を見ることが出来ます。
また監査が行われた日付も大事です。過去に1回しか行っていないケースや、3,4年に1回しか行わない企業は正直あまりおすすめ出来ません。1年に1回以上が望ましく、大手でしっかりした会社は大体毎年行っています。
速度について
正直なところ、プライバシー的な話よりも重要視する人が多いと思いますので、安全性が優れていても速度が半分以下になるサービスはおすすめとは言えません。編集部内でテストする際も、一番時間をかけて確認する内容となっています。
そもそもVPNを使用すると、インターネットへの接続速度が遅くなります。これはさまざまな原因が考えられますが、主にVPNがトラフィックを暗号化し、別のサーバーの場所を経由してルーティングするため、どちらも時間がかかり、速度低下の原因となります。
そのためテストする際に大事なこととして、単純なスピード結果だけでなく、VPNを使っていない状態に比べてどの程度速度が低下するのかという点も大事になります。記事の中では200Mbps出たという結果だけでなく、VPNを利用することで速度が20%低下したという結果も記載するようにしています。
一般的なVPNの場合、速度が50% 以上低下する可能性がありますが、Picky’sでは速度低下が20%以下のVPNを最速クラスのVPNとして評価しています。
テストする際はandroid・iPhone・Windows・Macなど出来る限り複数のデバイスを利用した上で、VPNを使用していない状態とVPNを使用した状態でのスピードを比較します。テストの際はNetflixが運営するFast.comとOokla社のSpeedTestを利用しており、VPNを利用する場合は利用可能なプロトコルを使用して最も近いサーバーに接続したうえでテストしています。
なおWireGuardとOpenVPNなど複数のプロトコルが利用可能な場合は、両方試してみて挙動に違いがないかもチェックしています。
テストを行うサーバーの場所についてですが、主に日本・アメリカ・イギリス・韓国・タイの5ヶ国を中心としてテストしています。ただしスピードテストについてはテストするタイミングや環境によって大きく変わるため、絶対的な検証結果とはなりえない点には注意が必要です。あくまで数値自体は参考値として、比較する際の判断材料として扱っています。
機能について
一般的なユーザーはプライバシーやログポリシーなどには興味がなく、単に海外の動画サービスを見たり、旅行の際でもお気に入りの動画を見たいだけだと思います。したがって機能面のテストとしてはストリーミングのブロックを解除出来るかはとても重要になります。
また、日本から海外旅行に行く際の選択肢として、英語圏だけでなくアジア圏も多いので、韓国やタイで使えるかといった内容も重要だと考えています。なお中国については、VPNが規制された国であり、VPNが確実に使えるという訳では無いので、直近で使えるという報告があればその旨を参考情報として記載する形にしています。
ブロック解除について
VPNの多くは、Webサイト上のサービスや場所のブロックをいくらでも解除できると書いている場合が多いですが、実際にはそうでもないケースがあります。
それらを検証するために、日本だけでなく、アメリカ・イギリス・韓国・タイなど様々なサーバーからNetflixが利用できるかどうかをテストして、その結果をまとめています。
なおプライバシーに重点を置き、ストリーミング機能には重点を置いていないVPNもありますので、レビューの際はその点も記載するようにしています。
料金について
VPNは2年間契約の長期プランの方が圧倒的にお得になるケースが多いですが、前払いする必要がある点には注意です。また、ほとんど全てのVPNは最初の更新時に価格が上がります。サービスを比較する際は、長期プランの場合にどれぐらい安くなるのかと、単月でも安いかどうかの2軸で評価しています。
海外のサービスのためドル建て・ユーロ建てでの支払いとなるVPNについては、想定レートで計算した日本円での価格を掲載するようにしています。
返金保証や無料のトライアルがあるかどうかも重要です。細かい点ですが、返金保証に何らかの規定や条件が含まれているかもチェックが必要です。
使いやすさについて
どんなに性能が高くて料金が安くても、アプリやツールの使い勝手が悪ければよいサービスとは言えません。特にVPNサービスは海外製品が多いので、英語が良く分からない人でも使いやすいか・初心者でも使いやすいかといった点も考慮する必要があります。
アプリのデザインと使いやすさは非常に主観的ではありますが、テストする際には、起動してすぐに使えるかといった点・基本的な機能が分かりやすい配置になっているかといった点を評価したいと思っています。
テストする際は接続速度だけでなく、VPNの接続にかかる時間、実際にWebサイトを読み込む速度、ストリーミングの中断しやすさなど複数のパフォーマンスを検証します。
サポートについて
どんなにアプリが使いやすくても、何か問題があった時、知りたいことが出来た際に簡単に情報が得られるかどうか・トラブルに対する質問に回答がきちんと来るかどうかはとても大事なポイントです。
解決のためのチャットサポートがあるか、Q&Aページがしっかり整っているかといった点はサービス面として非常に重要になります。また海外サービスがほとんどなので、購入ページは日本語か英語か、チャットサポートやQ&Aページが日本語か、といった点も考慮しています。