ホンダの家庭用ハイブリッド除雪機「HONDA スノーラi HSS970iJ」は、ガソリンと電気両方を利用した取り回しと除雪性能に優れた人気の除雪機です。HSS970iJは幅広い雪質や積雪量に対応可能で、自宅に一台あれば辛い雪かきも楽になるでしょう。
そこで今回は、Picky’s編集部が実際にHSS970iJを借りて除雪性能を検証してみました!「ハイブリッド式はどのくらいパワーがあるのか」「本当に取り回ししやすいのか」といった買う前の疑問を徹底的に検証しました。
目次
ホンダのハイブリッド除雪機HSS970iJレビュー結果
ホンダ小型除雪機HSS970iJを、Picky’s編集部が実際に使って検証し、その際の感想と評価を表にまとめました。評価とコメントについてはPicky’s編集部の主観です。
項目 | スタッフ評価 | コメント |
---|---|---|
サイズ感・取り回し | 〇 | 小型除雪機の中ではやや大きく重め。 取り回しは良くも悪くもなく普通。 |
デザイン | 〇 | 古い機種のせいか、いかにも除雪機!という質感。 好き嫌いは分かれそう |
操作のしやすさ | 〇 | 操作盤が若干ごちゃっとしている。 レバーやボタンの位置・操作性が微妙。 |
除雪性能/サラサラの雪質 | ◎ | 問題なし。30cmくらいまでなら1回で除雪可能。 ただ、たまにキャタピラが取られる |
除雪性能/やや水分を含んだ雪質 | ◎ | 完璧。1~2報復で綺麗に除雪できる |
除雪性能/非常に重い雪質 | ◎ | 最高。コンディションの悪い雪にも強い |
静音性 | 〇 | 静かではないが、除雪機の中では平均かやや小さめ |
総評 | 〇 | 除雪性能に関しては完璧で隙が無い。 ただ、そのほかの操作性で気になる点があるため 買う前にチェックした方が良い。 |
◎…大満足 〇…満足 △…イマイチ ×…不満
高評価だったポイント:あらゆる雪質や積雪量でも安定した除雪性能を発揮!
- どんな雪質や量でもほぼノートラブルで除雪できた!
- 50cm以上の積雪量でも問題なし!
検証時、HSS970iJと同時にヤマハやハイガーといった他社メーカーの小型除雪機も使用したのですが、その中でもHSS970iJの除雪性能は非常に安定していました。サラサラからベトベトの雪質まで対応し、また積雪量50cm以上の除雪でもほぼトラブルはありません。
単純な除雪性能だけ見れば、HSS970iJに勝てる同クラスの除雪機は無いかもしれません。
微妙だったポイント:思ったより小回りは利かない
- 旋回性能は思ったより微妙だった
- 操作方法がやや複雑で慣れるのに時間が必要
カタログで「小回りが利く!」と強調されていたため期待していましたが、検証の結果他社の除雪機と比べても「特別小回りが利く」感じはありませんでした。期待しすぎていた面もあるかもしれません。
また操作方法もカタログでは「簡単」とありましたが、操作盤がややごちゃっとしていたり、レバーやボタンが操作しにくい位置にあったりして慣れるまでには時間がかかりそうな感じを受けました。使用する前に、1~2時間練習した方がよさそうです。
ホンダのハイブリッド除雪機HSS970iJを買うべき人
- 値段の安さやコスパよりも除雪性能と品質を重視するユーザー
- ホンダ製品が大好きなユーザー
HSS970iJは10馬力前後の小型除雪機を探していて、その中でも特に「除雪性能を重視している方」におすすめです。除雪性能に関しては、同クラス最強、少なくともトップクラスなのは間違いありません。
また、ホンダ派の方にもHSS970iJはおすすめ。除雪機に限らず、「ホンダ製だから」という理由で製品を選ぶ方も多いようです。もちろん根拠がないわけではなく、ホンダが長年培ってきた実績と信頼からくる立派な購入理由だと思います。
ホンダのハイブリッド除雪機HSS970iJをおすすめしない人
- 圧倒的な除雪性能よりも、性能と値段のバランス・コスパを重視する方
- おしゃれなデザインの除雪機が欲しい方
HSS970iJは非常に除雪性能の高い除雪機ですが、地域によってはHSS970iJほどの性能は必要ありません。その場合、HSS970iJよりも安くて除雪性能が低い除雪機を選んだ方がコスパは良くなります。
現在HSS970iJは中古相場でもあまり値引きがされておらず、1ランク下の新品除雪機や、他社メーカーの同クラス新品除雪機が買えてしまうほどの価格で取引されています。後継機のHSS1170i(J)になるとHSS970iJの倍以上の価格です。
HSS970iJは確かに優秀な除雪機ですが、住んでいる地域やユーザーによっては性能と価格のバランスが合わない可能性があります。圧倒的な性能重視ではなく、「性能と価格のバランス」や「コスパ」を意識して除雪機を選びたい方はほかの選択肢も考えてみてください。
ホンダのハイブリッド除雪機HSS970iJのスペック
HSS970iJの公式スペックです。
サイズ(幅×長×高) | 725×1510×1155mm |
重量 | 163kg |
除雪幅 | 710mm |
除雪高 | 510mm |
投雪距離 | 最大17m |
最大除雪量 | 57ton/h |
投雪口回転/上下角度 | 回転210°/上下97° |
馬力 | 11PS |
使用燃料 | ガソリン |
燃料タンク容量 | 6.5L |
作業灯 | 12V-25W |
走行方式 | 左右独立式電動ブラシレスモーター駆動 |
走行変速方式 | 電動2モーター式無段変速 |
公式価格(発売当時) | 501,900円(中古は10万~30万ほど) |
エンジンと電気のハイブリッド方式で取り回しと操作性が良い
HSS970iJは、エンジン駆動と電動駆動のハイブリッド方式を採用。ハイブリッド方式の除雪機は、燃費向上や旋回能力向上、クラッチレバーの負担軽減など多くのメリットがあります。
またバッテリーには車用バッテリーを採用しているため、メンテナンスや交換も容易です。
新構造のバネ鋼オーガと硬雪専用爪を採用し、深雪・硬雪の除雪性能が高い
HSS970iJには、新構造のオーガと硬雪専用爪が採用されていて、重い雪や固い雪に対する除雪性能が従来機よりもアップしています。これにより、水分を含んだ重い雪や一晩経ってしっかりと凍ってしまった雪も簡単に除雪可能です。
暗い時間帯の除雪に便利な25Wの作業灯付き!
HSS970iJには25Wの作業灯(ライト)があり、暗い時間帯でも安全に雪かきができます。
雪かきは早朝や夕方以降の作業になるケースも多いはず。HSS970iJの作業灯は大きくて明るいため、暗い時間帯の雪かきにも最適です。
【実機で検証】ホンダのハイブリッド除雪機HSS970iJを徹底レビュー
検証時の雪質は少し凍った固い雪
今回の検証は、以下の条件で行いました。
- 3月下旬
- 場所は長野県小布施町
- 気温ー2度
- 少し凍ったシャリシャリした雪
- 積雪は約10cm・40cm・50cm以上の3か所で検証
この日の雪は、重さはそれほどありませんが少し凍っていて、人の手で雪かきすると大変そうな雪質でした。
ホンダのハイブリッド除雪機HSS970iJのサイズ・重さチェック
HSS970iJのサイズは725×1510×1155mmで、重さは約163kgです。単純比較は難しいですが、いわゆる同クラスの「小型除雪機カテゴリー」の中では「若干サイズ大きめで、わずかに重め」だと思います。
ただし除雪機は「軽ければ良い」というものではなく、重いほうが雪にタイヤやキャタピラがしっかり食い込み除雪しやすくなるメリットもあります。実際の検証時も、適度な重さでどっしりとしてるおかげで除雪しやすく感じました。
編集部
雪の中でも目立つ真っ赤なボディ!
HSS970iJの見た目は、いかにも除雪機!といったデザインで、Picky’s女性スタッフからの反応はいまいちでした…。逆に男性スタッフからは割と高評価でした。派手で武骨なデザインは、人によって好き嫌いが分かれるかもしれません。
HSS970iJは古いためデザインが武骨なのも仕方がないと思います。また、デザインの善し悪しが除雪性能に影響するわけでもないため深く気にする必要はないでしょう。
編集部
検証開始!書くことがないくらい優秀な除雪性能!
実際にHSS970iJを使用して除雪してみました!まずは20cmでテストしましたが、上記の画像の通りすいすい進んでいきます。雪質がそこまで悪くなかったこともありますが、除雪に全く問題はありませんでした。
次は少し高さのある30~40cmでテストしましたが、こちらも1回の除雪で綺麗になりました。日陰で長時間放置された凍った雪も除雪しましたが、オーガが力強く雪を砕いて進んでいきました。HSS970iJに採用されている新構造のオーガと硬雪専用爪は間違いなく強力です。
結局、どこで試してもスムーズに除雪ができました。除雪した感覚としては、10cm~50cm前後の雪であれば、どんな雪質でも問題ないでしょう。
一応検証としてHSS970iJの除雪能力を超える60cmにも挑戦してみましたが、数回の往復で綺麗になりました。50cmを超えても、よほど雪のコンディションが悪くなければ除雪できると思います。
編集部
騒音レベルは約80dBと、同クラス除雪機の中では平均~やや小さめ
検証中、HSS970iJの駆動音を測定したところ約81dBでした。大きいと言えば大きいですが、ほかの除雪機が90dB近く出るため、HSS970iJの騒音レベルは「わずかに小さい」と言えます。作業中、大きめの声を出せば隣の人と会話ができるくらいの騒音レベルです。
除雪機で音が出てしまうのは仕方がありませんが、できる限り音の小さい除雪機を希望している方はHSS970iJがおすすめです。
重量があるせいか、やわらかい雪では若干キャタピラを取られた
HSS970iJの除雪検証中、ごくまれに柔らかい雪の上でキャタピラ(クローラー)が止まって走行しないスタックが発生しました。スタックすると本体が重い分復旧が大変なため、新雪などの柔らかい雪を除雪する際はスピードを調整して様子を見ながら行うといいでしょう。
ただ、基本的には柔らかい雪でもスタックすることなくスイスイ進みました。スタックに関しては、一応注意しておくくらいで構いません。
操作盤が複雑で、操作性に少々難あり…
操作盤周りのレバーやボタンがややごちゃっとしているのが気になりました。しかもレバーやボタンの位置が微妙なため、操作が複雑に感じます。
特に気になるのが、左右にある赤い「旋回ボタン」です。旋回時には旋回ボタンを押す必要がありますが、レバーの近くで結構押しにくく感じました。
編集部
ホンダのハイブリッド除雪機HSS970iJの操作方法
HSS970iJの基本操作は上記画像の通りです。まずエンジンのかけ方ですが、鍵を挿し込んで回します。
エンジンを始動させたら、投雪方向調整レバーでシューターの角度を調整し、雪を飛ばしたい方向や距離を設定します。
左手側のクラッチレバーを握れば走行と除雪を開始します。右のレバーはオーガハウジング調整レバーで、オーガの高さを調整できます。雪の量や進み具合によって調整してください。
前後進速度調整レバーで、進む方向と速度を調整可能です。
左右には「旋回ボタン」があり、旋回したいときに使用します。けっこう押しにくい場所にあるため、旋回操作したいときは落ち着いてからゆっくりと操作した方がいいでしょう。
パネル左にあるのがエンジン回転数調整レバーで、回転数が調整できます。雪の量や質によって調節してください。
投雪方向調整レバーの奥には給油タンクがあり、ここからガソリンを入れます。HSS970iJは、MAXで6.5Lのガソリンが入ります。
編集部
【検証結果】ホンダのハイブリッド除雪機HSS970iJは性能重視の方におすすめ!
- どんな雪質や量でも安定した除雪性能を発揮!同クラス除雪機ではトップクラスの性能!
- 信頼と実績のメーカーホンダ製!
- HSS970iJは販売を終了しているため、後継機のHSS1170i(J)がおすすめ!
今回、ホンダの小型除雪機HSS970iJを検証しましたが、その結果「どんな雪質や量でもしっかり除雪する優秀な除雪機」でした。やや古いモデルではありますが、最新式の除雪機にも劣らない除雪性能です。
どんな地域の方にもおすすめできますが、特に積雪量が多く、気温が低い豪雪地帯のユーザーはHSS970iJを選ぶといいかもしれません。各ユーザーで予算やデザインの好みはあると思いますが、純粋な除雪性能で除雪機を選ぶならHSS970iJで決まりです!
なお、HSS970iJは現在販売を終了していますので、気になった方は中古で手に入れるか、ほぼ同等のスペックを持った最新式HSS1170i(J)を購入してください。
Picky‘s編集部では、ホンダの除雪機を含めさまざまな除雪機を紹介しています。